U星群

大学三回生です 京都に住んでいます

ガリ勉メガネの3年間

期末テストまで一ヶ月を切った。ここで単位を揃えないと2回目の留年が確定するので流石にぼぉっと構えているわけにもいかず、普段は出場する平日大会を全て見送り、宅オフも対戦会も泣く泣く遠巻きにして机の前でペンを握る。そうしてから一週間が経ち、いまだに握ったペンが動く様子はない。実際にはyoutube→overwatch2→VIPマッチ→youtubeを挟み→GGST→youtubeのループを延々と続けていただけ。勉強しなきゃいけないのに......と思いながらゲームしてても身が入らないので上達が遅い。俺のアッシュ一生2000ダメージとかしか出ないしバディストにタイマンで負け続けるしフードゥルは2Pで落とせないしようわからん型のオリーヴァの動画ばっか流れてくるしなんか俺のゲッチキンクルに負け続けてるんだけどほんとに使ってるキャラゲッチで合ってる?毎日一話ずつ無料で読める漫画アプリの更新だけがなんとか日々の連なりを感じさせてくれてたけど、楽しみにしてたドンケツそれ町も読み終わっちゃったんで寂しいし一日の楽しみが無い。はぁ。

それにしても何でこんなに勉強ができないんろう。昔はもっと勉強をしていたのに......得意・不得意以前に、勉強をしようと思って→する 回路が正常に動いてたはずなのに。何故このような事態になってしまったのか。なぜ三ヶ月間学校に行けていないのか。なぜ学期初めに買った教科書は全て漫画の下に埋もれているのか。なぜ部屋に消しゴムがないのか。なぜ使うキャラが毎回弱いのか。なぜ自分が好きなバンドの推し曲は毎回ベストアルバムから外れるのか。なぜ既に何回も見た上にサブスクで簡単に見返せるアニメのBDBOXを買ってしまうのか。なぜ内容はほとんど総集編の劇場版を公開日に見に行った上でやはりBDを買ってしまうのか。なぜバイトに落ち続けるのか。なぜ髪を染めて以降毛は抜け続けるばかりのはずなのに髪の金色部分とは半年経っても全く減ってないように見えるのか。我々はそれらの謎を解明するために、かつてあったとされる黄金時代、Uのガリ勉高校生編のことを思い出す試みに挑戦したのだった。

本当は勉強したくないから現実逃避で文章書き始めただけ。

ではどうぞよろしくお願いします。以下ずっと自分語り。結果として、自分は京大に現役で合格するわけだけど、ただ全然サクセスストーリーというわけではなく、なんかこうスマブラの前にやってた別ゲーとその界隈についての解説みたいな感じで読んでほしい。ああこんなやつもいるんだなくらいの感想でお願いします。

高校受験編 : クソガキ

保育園から小・中学校の間、Uは神童だった。
超嘘。別に天才みたいな雰囲気は全然出せないただの根暗ないじめられっ子だった。けど勉強はちょっとできて、中学の定期テストでは一学年250人の中で常に20-30位くらい。授業を真面目に聞くことが苦手で、自前で持ってきた本をこっそり読んでは没収されてた。特に国語の授業とかマジでつまんなかったからずっと『とある魔術の禁書目録』を読んでました。あまりお小遣いが多くなかったので、BOOKOFFで毎月三冊づつ分厚めのラノベを買って十周くらいして時間を潰してたのだった。そんな健気なガキの楽しみを無慈悲に没収する国語教師、あまりにも非人道的と言わざるを得ない。国語に関係してたら許されるかなと思って、図書館で借りてきた『あさきゆめみし』を読んでた時期もあったんだけど普通に没収された。そんな感じだったので定期テストの点数はそんなに良くないし授業態度で減点されて成績表は全部4とかだったんだけど、一回のテストだけで済む受験勉強とは相性が良くて、結果的に学年で三番目くらいに偏差値が高い私立高校に進学することになった。先生はみんな嫌そうな顔をしていた。そりゃそうね。
小中とずっと図書館に古森霧だったおかげで国語の点数だけ異常に高かった。初めて受けた中3夏前の駿台難関模試みたいなやつで国語の偏差値が80とか行って冊子に名前が載り、これが人生最高得点だった。数学と英語の偏差値は40と35とかで普通にカスだったんだけど国語のせいで引き上げられて志望校にB判定が出ちゃって、めちゃくちゃ調子乗って夏休みは勉強しないでマインクラフトのゆっくり実況ばっか見てた。ところで当時よく見てたのが28ちゃんねるっていうほんわかしたゆっくり音声で、ある時期から生声はじめたり彼女さんが出演し始めたりしてたんだけど、最近Twitterでその28さんと彼女さんがもう結婚してて第二児が産まれるとかの話が流れてきてクソほどびっくりした。時の流れ、えぐ。そして夏勉強しなかったせいで夏明けの模試がやばくて、でも色々あってなんとかかんとか上振れてギリギリで志望校に合格、家族が増えたのもあって家にスペースがなく、寮に入って東京の高校に通う日々が始まった。おれのガリ勉人生でうまく行ったのはここまで。

高校1年生編①:初めての「勉強できない子」扱いに彼は

上振れて結構いい場所に入った人は当然その中では落ちこぼれ。世の中の基本原則だけど、高一の僕はまさしくそうで、人生で初めて『勉強できない子』として生活することになった。うちの高校はちょっと特殊で、英語数学国語は全部レベルごとに四段階授業が分かれたんだけど、入学時のレベル分けテストで英語は一番下、数学は下から二番目、国語すら上から二番目のクラスに配属された。いわゆるグローバル教育みたいな学校で英語のレベルは馬鹿ほど高かったのでちょっと仕方ないんだけど、数学と国語が一番上じゃないのはかなり自尊心を傷つけた。どうしても勉強できない子扱いに耐えられなかったので、ここでガリ勉生活がスタート。定期テストの点数さえよければ次の学期から上に上がれるので、年3回のチャンスをなんとか掴むために邁進、せっかく高校に入ったのに部活も写真部とかいう帰宅部ダッシュファイターみたいなとこに入部してしまう。はぁ。全ての間違いはまずここで、別に勉強なんかより楽しいことがいっぱいあることに気がついていればこの後の生活はもっと豊かになってたはずなんだけど、気づいたら視界はチャート式数学の青い表紙でいっぱいになってしまったのであった。
高校生活一年目を犠牲にした甲斐あって、2年生に上がる頃には数学・国語ともに無事一番上のクラスに移動。めでたしめでたし......でもなかった。まだ何もかも知らなかった高校一年生のクソガキは、ガリ勉生活を加速させるもう一つ最悪の間違いを犯してしまう。

高校1年生編②:ツイッターのはじまり、学歴厨の目覚め

最初に光があった。そして昼と夜が分かれ、空と大地が分かれ、海ができ、最後にインターネットが生まれた。インターネットはあらゆる過ちを生み、神はインターネットなんて無い方が良かったと言った。---裏死海文書第0章0節

 

高校1年生のUの最悪の間違い。それはツイッターを初めてしまったこと。

それが何?と皆さんは思うかもしれない。ゲームをやっていればツイッターはほぼ必須ツール。スマブラではオフに行くにもオンでフリー対戦をするにもツイッターを使う。ゲーマーなんてラインよりツイッターの方を多く見るのが当たり前の人ばかりかもしれない。しかしそれは本当は普通ではない。普通ではないのだ。趣味に身を入れすぎているためツイッターにその情報を連投しお互いに見合ってしまう。誰がレート1700行ったとか大会のリザルト行ったとか今日は手が震えてあんまりうまくできなかったとかおめでとうございます!自分も今期は頑張ったんですが1750までしか盛れませんでした〜😆とかクソキャラとかキャラ相性とかプロゲーマーの態度が実は悪いとかネチネチネチネチネチネチネチネチ、これは普通ではない。

しかしそんな普通ではないことが起こっているのは、実はスマブラ界隈・ゲーマー界隈だけではない。なんとツイッターには勉強界隈というものが存在する。
勉強界隈。基本はスマブラ界隈と同じである。今日は何時間勉強できたとか模試の判定がAだったとかテストで学年何位だったとか志望校は実はここでとかそういう話をお互いにしまくってはなんとなくアイツより雑魚だと思われないようにツイート内容を工夫しようみたいなアホの駆け引きが繰り広げられている。高校1年生のUは写真部と周縁の根暗ガリ勉オタク2号や3号に誘われてその勉強界隈に足を踏み入れてしまったのである。本当に、こんなことしなければよかったのに......。後悔先に立たず。

さて、勉強界隈にも階層がある。底辺があれば最上位勢もいる。天が人の上に人を作って以降普遍の摂理である。そこを初めて見通した時にUが気づいたのは、自分はカスであるということだった。

本当は全然カスではない。勉強ができるとかできないとかは人の幸福にとって本当にどうでもいいことだし、無理に気にしなければいけないわけではないのだけど、そういう当たり前のことを飛び越えて価値観を押し付けてくる迫力がそこにはあったのだ。高校一年生のガキはそれに抵抗もできようもない。当時の自分にとっては通っている高校のクラス分けで上か下かが全てだった。しかしツイッターを見てみると、どうやら日本には開成やら筑駒やら灘やら日比谷やらエリート高校が乱立し、そこに通う学生らは東大東工大医科歯科大といった超最高峰の国立に受かるのが当たり前、高校入学前に既に高校三年間の勉強が終わっており、部活やらボランティアやらの片手間に模試A判定、寝ている間に指が勝手に過去問を解くなど、勉強という一大ジャンルを攻略する形に体が成っているキル・マシーンだらけだという。一方僕の高校は偏差値こそまあまあ高いが、グローバル教育にものを言わせて推薦で私立大学に入学するのが普通という雰囲気があり、一般受験での進学は東大が一年に一人でるかどうかというくらいで、僕はその高校の中でも勉強が「できない側」。ミホークにやられたゾロよりも世界との距離が遠い。身内の中で最強と盛り上がってたやつがオンライン対戦を始めたらVIPも行けずボコされてる感じ。ため息ついちゃった。

この現実を理解したUは、大人しく引き返して自分の人生を豊かにするために友達作りや新たな趣味に励んだ......ならばよかったのに、あろうことか自分も「できる側」に、それも全国区レベルの最上位勢になりたいと思ってしまったのである。あーあ。

さて、高1のUは実力的にカスだったが、Uの周囲にはできる奴が何人かいた。Uをツイッターにハマらせたのはそのできる奴たちの影響も大きい。彼らは同じ高校に通いながら、全国区レベルの学力を(実際はともかく、当時の僕にはそう見えた)独学で持ち、Uより常に数段階深い部分の話をしている。彼らは「できる側」なのでツイッター上でも知り合いが多く、お互いに常に切磋琢磨しているようだった。彼らをお手本として地道に努力するだけできっとよかったのだが、最悪なことに、当時のUはできる奴と知り合いというだけで自分もすごい奴かのように錯覚してしまうというよくある病気にかかってしまった。『俺は広い世界を見てその物差しで努力している。だから学校にいる他の奴とは違う』みたいな感じ。その学校の中で上から十指にも入れないくせによく言えたものだ。ともかくそうしてUは実力に裏付けされない意識だけのプライドの高さと、「できる側」の知り合い達と並び立てないという劣等感から、完全に勉強するしかない精神状態に追い込まれ、他の全てを犠牲にしながら机に向かうようになった............。

とまで書ければよかったのだが、実際は結構サボりながら勉強していて、意識だけは高いのに努力量とモチベーションが追いついてない典型的なダメな人をやっていたのがさらに最悪だった。そのダメさをちゃんと自分で直視できてたらまだマシだっただろうにね。

そんな感じで高校一年目は過ぎていった。当時設定した目標は最低限東大合格というもの。完全にツイッターに影響されてしまった。お前は東大に入って何がしたいの?大学に何のために行くの?そもそもお前のレベルで東大なんて目指せるの?という当たり前のことを全く考えていなかった。馬鹿だね。

 

高校2年生編①:ガリ勉くん本格始動

ガリ勉野郎が気合を入れるべきは高校2年生である。ここでどれだけ勉強したかが受験の明暗を分ける、とUが暮らしている世界では言われていた。当然、エリート高校に通っている奴らはとっくのとうにそのハードルを超えているので、当時のUはとにかくそこに追いつくことに必死だった。高2に上がる前の春休みの間に、独学でなんとか数Bを終わらせる。当時のUが目標にしていたのは高校に入る前に既に高校三年間の勉強を終わらせている、高校生活バグありAny%RTAの最速チャートみたいな奴らだったのでこのくらいではまだまだ足りなかったが、とりあえず学期始まりからしばらくはこの貯金で数学の成績をなんとかできたので心に余裕があった。当時のUは塾通いに抵抗があり、というよりもツイッターや周囲の「できる側」の奴らはみんな今更塾とかに行ってバフをかけなくても生のままで勉強ができる奴ばっかだったので、その裸足で野原に立っているような荒っぽい格好良さに憧れて、参考書とZ会の通信教育(東大コース)で自宅勉強というスタイルにこだわっていた。アホやなあ。

ともかくそんな感じで春休みの前も後も脳死で問題集と格闘する日々を送るが、高校2年生ともなると脳死ではやってられないことがいくつか起こる。
まずは文理選択だ。大学受験、ひいてはその後の就職や人生も二分するようなことを高校が一年終わっただけの時に決めさせる仕組みは今思うと本当にどうかしているのだが、それよりもどうかしていることに、当時のUは深く考えずに理系を即決。理系院卒の父親の影響、理系の方が賢いという意味不明の陰謀論をゴリ押ししてくるインターネットの毒電波、数学ができない奴はダメな奴という夏油傑もびっくりの至上論、などなどによる自己分析をスルーした決定は、当然後までずっと尾を引くことになる。なんせ前述した通り、当時のUは国語の成績だけで高校に受かった男。数学も英語もできない理系なんてくいなが死んでないゾロみたいな物だ。でも選んじゃったものはしょうがない。追加で物理・化学という重荷を背負いながらの旅路が始まった。
そしてもう一つは部活の代替わり。帰宅部の2Pカラーみたいな写真部であるが一応役職というものが存在し、毎年新2年生から選ばれる......が、恐ろしいことに、自分の代の写真部は常駐している部員がもれなく全員性格に難があり一番マシなのがUという事態だった。「一番マシ」のレベルは、「初対面の人間と敬語で喋れる」くらいだったので本当にとんでもない。そしてそれが理由で部長に指名され、ボケっと引き受けてしまう。この軽率な判断により、上の代ではきちんと写真を撮っていた写真部は完全に衰退の道へ、最終的には暗室で大富豪をする謎の集団と化してしまうことになる............。本当にごめん。

さて、そんな風に高2初期の重大イベントもスルーしたUにとって一番の関心は春の難関模試である。この出来でこれからの自分の受験生活の如何が占われるので相当大事なイベントだ。当時のUの気分的には、まあ頑張ったしC判定くらいは出るだろうが、気を緩めずに精進を続けようという感じで結果的には普通にE判定でした。はい。
まあまあでも高2の春だし最初だし、ここをスタート地点としてどれだけ上げられるかが大事だしむしろEからのスタートってことは上がるしかないし負けないぞという気持ちで頑張れるし良かったよね!と鋼の楽観論(フルメタオプティミスト)で踏みとどまった僕は、次の模試ではD判定、あわよくばC......いや、遅くとも高3までには間に合えばいいかな、という感じで気を引き締めて受験勉強を再開した。ちなみにネタバレになるが、これ以降東大を志望校にして受けた模試は全部E判定だった。高3の1月に志望を変えるまで、ずっと。ははは。アイドルをやりながら医学部志望でB判定の子もいるのにお前は......

そんな結果が待ち構えていることはつゆ知らず、高2のUはあらゆる行事を全ツッパして勉強に邁進。常に鞄に赤チャートと青チャート(何故か両方買っていた。FEエンゲージの主人公みたい)を備えた内職マシーンと化していた......というのもやはり盛っていて、普通にシャドバとかFGOとかもしてました。ニュートラルヴァンプに文句を言いながらニュートラルヴァンプをマスター行くまで擦り散らかし、ボックスガチャを何箱開けたかでツイッターでマウントを取り合うカスの営みをしていました。これらは最も教師がゆるい古文の授業の間に行われていたため、古文の成績・理解度は共におしまいとなった。これは後の伏線としてきっちりUの足を引っ張ることとなります。
とまあ、ダラダラしながらも受験勉強を続けていたU。それだけならまだまあちょっと意識高い学歴厨さんかわいいねで済んだはずなんだけど、当時のUにはもう一つ関心ごとがあった。それはかの有名な数学オリンピックを初めとする学術オリンピック、そしてそれを中核として広がる競技科学の世界である。

高校2年生編②:競技科学なんてやるな

「よろしくお願いしまーーーーーーす!!」と叫びながらエンターキーを勢いよく叩くことがメイン種目として広く知られている、数学オリンピック(通称JMO)。しかしその実態は、金を払うことで誰でも参加可能な予選、そこから高成績の者だけが進める本選、さらにそこでメダルを取った者だけが参加できる代表選考合宿、そしてその中でさらに好成績の選りすぐり6名が出場する国際数学オリンピック(通称IMO)からなる、まるでギャクマンガ日和GB一巻のアームレスリング世界大会かのような積み木構造だ。数学以外にも、物理オリ、化学オリ、生物オリ、地オリ、言語学オリなどなど様々だが、だいたい形式はおんなじだ。これらで出題されるのは受験勉強とは少し雰囲気の違う問題で、例えばこんな感じ。『どの桁も素数であるような数を良い数と言う。3桁の良い数であって、2乗すると5桁の良い数になるものを全て求めよ(JMO2019)』*1こういうのを時間以内にたくさん解けた人が勝ちというルール。

さて、勉強界隈では学術オリンピックの予選通過者はただならぬ勉強力の持ち主とされ一目置かれる。本選でメダルを取れれば全国の学歴厨サロンには顔パスで参加でき、ツイッターのプロフィールに「JJMO2013銅,JMO2014銀」のように実績を書くことを許され羨望の眼差しは絶えない。IMOの代表選手に至ってはフリーザスカウターは壊れ悟空は初手からスーパーサイヤ人、コート上でわけもなく膝をついてしまいダンクを許し敵サイドからでもスリーポイントシュートが入る。当時のUはセリエAのスター選手よりそんな競技科学最上位勢たちに憧れた。彼らのマネをして代数・解析パーフェクトマスターを買い、杉浦解析を買い、問題解決どうたらこうたらみたいな洋書を買った。競技科学プレイヤーのコスプレにお熱だった、かなりの黒歴史の時期だ。なんとか頑張って数オリの過去問を解いてみるも、門前払い以下の点数しか出ない日々。それでもだらだらと続け、しばらくの期間を無為に過ごした。

数オリの問題集。代数解析以外にも色々種類がある、通称パフェマス。競技科学プレイヤーはカフェに入ってこれを机に置き写真を撮り、「スタバでパフェ!w」などと痛いツイートをして身内ポイントを稼ぎ合う

 

察しの言い方はお気づきかもしれないが、競技科学というのは金持ちの子どもに生まれて幼少から英才教育の湖を回遊していた奴らが文化資本を見せびらかす学芸会みたいなものだ。要するに全然どうでもいいってこと。実際、勉強界隈に入った人間のトレンドは
①学校の授業内容に逆張りし独学、受験勉強の本質を知った気になる
②受験勉強に必死になることに逆張りし競技科学に移行、”上”のフィールドに立った気になる
③競技科学なんて意味がないと言い、自分のための勉強こそが至高とする。悟りを開いた気分になる
の三段階に流れていく。どのくらい早くからそこにいたかによって移行段階にも差は出るが、そもそも競技科学という存在が高校課程修了までしかない時点で過ぎ去っていくものなのだ。勉強するなら自分の人生をちょっと楽しく幸せにするためにやるべきで、順位をつけるのはそのついでにできる奴だけがやるべきことだ。と、思います。ワイトもそう思います。

でも熱が入っている時はそういう風には思えないわけで、当時のUは頑張っていたのか頑張っているフリをしていたのか、自分は受験勉強は当然、競技科学もこなして全国デビューをしてやるぜという気分でいた。気分だけはあった。あらゆる学年集会、文化祭体育祭などなどをガン無視して自習室に篭る日々。参加しないで自習していた進路集会で「学校生活をちゃんとやらない奴が受験で成功するわけがない」と進路指導に遠隔で悪口を言われており閉口。
そんな感じで2年生は終わってゆく。最後に待っていたのは数学オリンピック2019の予選。合計12問くらいのうち6問正答で本選通過の試験で取れた問題はたったの1つ。一緒に出た友達が3問取っていたのでお前俺の3倍数学できるじゃーん(笑)とネタにすることしかできず、あっさりと競技科学人生の幻影も消えたのだった。

ちなみに学校の成績の方は上がってはいたんだけど、当時同じ学年にトップクラスに勉強できる6人くらいの仲良しグループがあって、自分はどうしてもその人たちに勝てず、なんとなくあっち側とこっち側にある溝みたいな物を感じ、また劣等感でゲロゲロしていました。数学のテストで上位6名は名前が掲載される仕組みだったんだけど、常にその勉強できる組で独占されていてテスト返ってくるたびにげんなりしてた。高校三年間通して僕がそこにリザルト入りできたのは床ペロを2回とかだけだった気がする。

 

高校3年生編:今更気づいてももう遅い

高3の春。本来の予定なら受験で使う勉強の範囲は一通り終わっているはずだったが全然そんな風にはなっておらず、英語に至っては半年前に買った鉄壁がまだ一章から動いていないという体たらく。ドヤ顔で先取りしたはずの物理も問題集に手をつけてみるといまいち理解が及んでない感じがする。終いにゃ終いにゃE判定。春の駿台E判定

学歴厨の必携の一冊。買った学生の約八割はすぐに飽きて辞めるが、なぜか皆vivalという単語だけは覚えている。受験生はお互いの鉄壁の傷み具合で学力を推測するので、雑に扱えば扱うほど精神的優位を取れるとされた。

ここでUはようやくやばいと気づく。やばいというのは受験勉強のことではない。おれの高校生活この調子のままあと一年で終わりということがやばい。振り返ってみても勉強勉強勉強、学校のイベントを全ブッチして自習室、友達付き合いよりインターネット、サブカルアニメをリアタイして「お前らとは趣味が違うんだよネ(ニチャア」などと。......この調子のまま終わりってコト⁉︎

今更どうしようどうしようと慌て出したU。今まで勉強だけしかできることがないのでとにかくそれに打ち込むことで目を逸らしてきたが、普通に生活楽しくないし一回きりの高校生がこのまま終わってしまうのかなりやばい。なんとか解決しなきゃ......と思った僕は一つの案を思いつく。

 

今のおれに足りない物は友情・努力・勝利。そうだ、ジャンプを買おう。

当時はチェンソーマンの第1話が掲載された頃。ツイッター上でも無料公開されて話題を呼んでいて、そもそもファイアパンチが結構好きだった僕は「こりゃぁとんでもねえ!追わな!」と思っていた。そしてジャンプを買って読めば明るい性格になり明るい人たちとも対等に話せてこれから学校生活を取り戻すことも可能なのでは?と思った。何を言っているかわかんないけど当時は本当にそう思ったのだ。

そんで上手くいった。マジでジャンプを読み始めたらなんか学校生活の風向きが変わってきた。高校では土日は寮から家に帰るという意味不明システムが採用されていたので、月曜は早朝から片道1時間半くらいかけて高校に行っていたんだけど、途中で中央線のキヨスクでその週のジャンプを買って学校に着くまでに読むのが日課になった。そんで学校に着いたら今週のワンピースについてクラスメイトと話す。そう、ワンピースは全員読んでるのでワンピースの話なら誰とでもできるのだ。明るい性格の人たちともワノ国編の話は対等にできる。これによりまず交流のとっかかりが発生、以後色々なイベントを弾くことなくちゃんと参加するようになった。

正直勉強にもう飽きていたというのも大きい。初夏にあった物理オリンピックには出たかったので出たが、試験・実験レポート共に(物理オリの予選は会場に集まって紙の試験を受けるのと自分でテーマに沿って実験したレポートを提出する二段階で評価される)評価Cという「がんばりました」で終わってしまい、そっちの方向にも本当にケリがついた。高校3年生にして生活の中から受験勉強の割合が半分くらいに減り、人と話すことが増えた。

文化祭や体育祭の準備にも真面目に参加した。推薦入試の準備とかで早々に練習から引き上げる同級生らを尻目に、クラスの男子の中でたしか唯一(?)ダンスの練習に前日の放課後まできっちり全部出て動かない体と熱心に格闘していた。そして熱心すぎたせいで当日に熱を出してしまい体育祭は結局休んだ。アホか。担任の先生に電話で「今回は本当に風邪ひいたんです、信じてください......」と言ったら失笑という感じで「天罰だね(笑)」と言われた。オチをつけんな。

そんな感じで高校3年目はようやく高校生っぽい感じで過ぎていき、塾にも通うようになり、受験を迎え、色々あって大学生になるのでした。この時期に受験そのものの内容について語るとどうしても胡散臭い成功体験みたいな匂いを消しきれないので詳しくは書かないけど、センター前に目標を下方修正して京大理学部に変更、一ヶ月間過去問ガリガリやってギリギリ最低点+6点で滑り込んで終了。まあなんか、そんな物だよね。結局最初に立てた自分の目標は達成できなかった上に、興味を持った競技科学も中途半端の三段階下くらいのレベルで終わっちゃったので、受験後はなんか微妙な後味の悪さが残った。周りに勉強できてすごいねと言われても、素直にありがとう〜と言えない。地元の友達との飲み会で「お前だいらん強いらしいやん!」て言われた時に(いや俺なんてスマバトの予選も抜けれないし平日大会も勝てないレベルだし......)と心の中で思っちゃうあれと同じ。

 

自分で総括すると、高校課程の勉強っていうゲームで大型大会の頂点に行ける最上位勢になりたかったけど実際は地方の中規模大会にリザルトが限界でしたって感じ。勉強はコンテンツとしての規模が大きく、やってる人は本当に生まれた時から積み立ててるし、その積み立てはかなり親と環境依存なので相当運ゲーだったなと思う(とはいえもちろん、自分もかなり恵まれてる方)。なので改めて別のこと頑張ってみようと思ってスマブラを始めたんだけど、こっちも同じようなオチになりそう。こういう自分のだらしなさを上手く飲み込んでいくことだけが人生なのカモ。

この一連の思い出の中で何か教訓があるとすれば、自分の目標は自分のために決めようということで、周りの風景の険しさに圧力を感じて理由なく高いところを目指しちゃうと後が苦しい。勉強もゲームも、自分の楽しさと達成感のためにやりたいね。そういうわけで、じゃあ今お前は何をしたいと考えた時に、明確にもう勉強は懲り懲りなのでテスト勉強もしたくねえな。やめていい?

 

以上、おれの黒歴史その1でした。恥ずかしくなったらこの記事も消す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1:解答例:良い数の桁として許されるのは2,3,5,7のみなので、求める良い数は222以上777以下。まずは100の位に注目して考える。500×500=2500000より、100の位の数字が5,7の場合2乗しても5桁にならず不適。また、100の位が3の場合2乗すると10000の位が9になり良い数でなくなるので不適。よって求める数の100の位は必ず2。次に1の位に注目すると、2,3,7の場合、2乗すると1の位に4,9が現れてしまい良い数でなくなるので不適。よって、求める数は100の位が2、1の位が5でなくてはならない。これを満たす良い数は225,235,255,275の4つなので、それぞれ2乗してみると、良い数になるのは235×235=55225のみ。よって答えは235。

カズヤスティーブBANについて考えたこと

ウメブラ二日目の深夜にツイッターを眺めていたら、こんなツイートを見つけました。

うお〜(意味のないうめき声)、と思いました。J-Snakeさんは沖縄のスマブラコミュニティを背負って精力的に活動されている方で、方々でご活躍を聞きますし、この企画を通して開催する行動力はすごいと思います。僕も去年の夏休みにやってたゆゆスマという超々小規模大会でDLC禁止企画したいなーと言うだけ言って結局やらなかったので、やっぱり大人としてe-sportsに向き合っている方は流石だなと感じましたし、これ自体に意見とか批判とかは全然ないです。

ただなんとなく、このツイートへの反応とかを見ていて、ちょっと考えたことをツイートしようとしたんだけど長いのでブログに載せちゃおって思って記事を書いてます。一部キャラをBANすることによるメリットデメリット、論点がどこにあるのかについてです。今は朝の5時で、書いてる暇なんてないんだけどなんか目が覚めちゃった。

本題なんですけど、そもそもなんでDLC2BAN(というかぶっちゃかカズヤスティーブBAN)の必要があると思う人がいるのか、その発想がいかに正当化されるのかについて。
どんなコミュニティにも特有のカラーがあって、そこに適合する人が集まってきます。スマブラは競技シーンも観戦勢も全部合わせると複雑すぎるので、ひとまず競技シーンを、さらに各々切り取って考えると、例えば100人200人規模の大会では競技として高い順位を取ることに重きを置く人々が、逆に5人にも満たない身内の宅オフだと雑に楽しくスマブラをしたい人が、それぞれ来やすい雰囲気があると思います。(もちろんガチな雰囲気の宅オフもほんわかした大会もありますんで、例えば九龍は他の大会より元気な人が集まりやすそうとか、ぶるーえむ宅は謎スピリッツルールも楽しめる人が来やすそうとかそのくらいの感覚でいいです)そして、コミュニティのカラーは最初は流れで変化していきますけど、ルールを作ることで主催者の意図する方向に変えていけますよね。応援ありの大会か静かにやるかは主催者が決められて、それによって来る人の感じが全然違ったり。
そして、主催者がやるカラー選びには『カズヤスティーブでスマブラを楽しんでる人』と『カズヤスティーブが原因でスマブラを楽しめない人』のどちらを切り捨てるか、の拓も入り込んでいる、という発想があったとしてもおかしくはないわけです。多くの大会やプレイヤー、発言力のある方たちは、そもそもこの拓の存在を言語化することを忌避していて、多分なあなあのまま拓自体を拒否して続く部分が多いと思うんですが、この拓に向きあう人がいるのも自然なんです。

そして、実際に『カズヤスティーブがいないスマブラ』を選んで大会を開く人がいたとしても、それ自体は全然悪いことではありません。やりたいゲームがあって、同じように思ってる人たちが集まって遊ぶことはめちゃくちゃ自然ですよね。

では何故、BAN大会が日本でドカドカ開かれないのかというと、まず一つはコミュニティの分断を招くからですよね。カズヤスティーブがいないスマブラの大会が乱立して、今までの大会の規模が縮小した場合、カズヤスティーブを使ってた人や、その人を応援してた人たちの行き場所はどんどん狭くなっていきます。カズヤスティーブ使いじゃない人でも、片方の大会しか出場しない人が増えたりするでしょう。そういう分断は大規模に起こると単純に怖いです。数十人規模の大会が立ち上がるくらいならまだしも、いきなり同接何千人とかの大規模大会でそれをやられたらいろんな人が影響を受けます。それのせいでスマブラをやる人が減るのか増えるのか、誰かがどういう風にダメージを負うのか、予想がつかないです。

ただ、キャラクターのBANとか禁止行為の制定とか(Xメタナイトの床下往復禁止とか、海外の一部大会でのForベヨネッタのBANとか)は今までの作品でも行われてきたことで、今まで受け入れられてきたし別にSPでも......と、なると思うんですが、ここでもう一つ重要な要因があって、そのせいで簡単にBANにはいけないなって感じがします。

もう一つというのは大会の価値の喪失です。喪失って言葉かっこいいなあ
この話のためにはまずスマブラ製作陣が押し出してきたコンセプトを振り返る必要があると思います。「愉快なパーティーゲーム」という桜井氏の言葉は、あらゆるスマ勢にこのゲームの本質として引用されまくっており、スマブラSPの持つ派手さ・理不尽さを象徴するものとされていますが、実際にこの言葉が表しているのはひとえに製作陣の態度の曖昧さです。
キャラ調整の際の文言が一番わかりやすいと思うんですが、スマブラではキャラの強化・弱体化は淡々と結果だけが記されてその意図は解説されないのが普通でした。とはいえ、「ああパルテナが強かったから空前弱くなったんだろうな」くらいのレベルの推測は可能です。が、パルテナが『大型大会で』強かったから弱体化されたのか、『VIPマッチで』強かったから弱体化されたのか、『スマメイトで』強かったから弱体化されたのか、そもそも1on1アイテム無しで強かったから弱体化されたのか、などの細かい基準には触れられません。(一応公式はVIPマッチを参考にしていると明言はしていますが、そもそもVIPマッチ内でも優先ルール制によって試合形式が様々すぎるので一律の基準があるとは思えません)他ゲーの話をしますと、例えば僕が最近ハマっているギルティギアストライブなんかは、このキャラの〇〇はこういう展開が取れて強かったので▽▽な感じにしたよ〜、と解説してくれます。それどころか、そもそもキャラの設計に意図が明確に出されており、例えば初心者が参入しやすいように主人公キャラのソル・バッドガイは使いやすく強くしました、と公式が明言した上で実際にソルはずっとTOPtierにいます(最近は落ちましたが)。明言されている以上プレイヤーはみんな、まあソル強いよねオッケーと認めた上でプレイすることを求められます。

スマブラギルティギアの違い

競技者としてはギルティ親切だな〜と思いますが、とはいえスマブラもこうしなければいけない事情があって、そもそも”平等さ”を求めているガチ勢だけが対象じゃないということや、あんまり複雑だと解読できる層が限られたり、他社キャラもいるので誰かをひいきしたりすると雰囲気が悪かったり、キャラが多すぎて詳細な調整が難しかったりとか、色々想像できますし、多分想像できない理由もたくさんあります。なので一概にどっちが良いとかは言えません。(いつもの)

そういうわけで、スマブラをやっている人はみんなこの公式の曖昧さ、答えを言わない感じを前提にした上でプレイしてきたわけです。それにより、ギルティ勢の「まあソルが強いのは仕方ないよね」とは全く真逆で、スマブラコミュニティでは「キャラの強さ弱さには理由はない」という一種の”自然さ”みたいなものがあると信じられてきたわけです。キャラの強さはスポーツ選手の才能のあるなしみたいなもので、他ゲーのソルみたいにドーピングされてる奴はいないし、いるとしてもシステムに優遇されてるかどうかくらいだから自然だよね、みたいな気分。スティーブやカズヤも一応はその範疇なはずでした。

そこで、「スティーブとカズヤは禁止にします」と言うと、みんなが前提にしてきた環境の自然さに亀裂が入るわけです。大会は、一つの意志によって明確な介入を受けた場所になります。

まず「じゃあ今までの大会はなんだったのか」という話になりますよね。今まで東西最強やら世界規模の大会やらで活躍してきたカズヤ使いスティーブ使いの勝利や名声は、全てキャラにキャリーされたことになってしまいます。それを応援してきた人の気持ちはどこに行けばいいのかわからないものになりますし、その試合や結果を讃えてきた人たちの言葉も無意味になります。今までスマ界隈では、特に大きな舞台に立つような発言者ほどスティーブ使いもカズヤ使いも讃えるというスタンスを取り続けてきて、その人たちに追随する人たちも同じような言葉を使って盛り上がってきました。これらが全部一気に手のひらを返すとなると大事です。

そして次に、「これからの大会はなんなのか」という話になります。カズヤスティーブが居なくなって、ジョーカーやシークが活躍するスマブラが戻ってきました。優勝はジョーカー使いです、となった時、「でもジョーカーが勝ちやすい環境に自分らがしたんだから勝って当たり前じゃね?」という意見は生まれるでしょうし、否定するのは難しいと思います。カズヤスティーブは平等に全てのキャラを抑えつけているからこいつらを消せば全員が解放されるんだ!というほど単純ではなく、カズヤスティーブによって活躍の機会を与えられたキャラもいるはずで、そういうキャラも巻き添えで追い出してキャラランクを自分達の信じるピラミッドに戻すぞ、としてしまうと、いまいちキャラの活躍を自然なものとして受け止められなくなるのではないでしょうか。

要は二つとも、ルールにわざとらしさがあると萎えるんじゃね?という意見です。ちょっと出来レース感が生まれてはしまいかと。

 

話が分かりづらくなってきたんでまとめるんですが、BANによって起きる良くないことは「悲しい人と嬉しい人でコミュニティが二分される」と「試合の神聖さが損なわれて価値が怪しくなる」です。またこれらは大規模な大会でBANが行われた時に限ります。小さいならそんな影響ないし大丈夫だと思う。

こういった良くないことの影響範囲は、多分過去作とは比にならないくらいデカいんじゃないかなと思います。もうスマブラSPのコミュニティは、「このゲームを競技として遊ぶのが楽しい!」という人たちだけのものではないからです。「見るのが楽しい」「応援するのが楽しい」人による、声援・スパチャ・広告収入・新規参入によって、スマ界隈の中でお金がくるくる回って、そのおかげで大規模で派手で影響力のある大会があちこちで開かれ、遊び場の数が保障されている現状があります。*1そういう大きな規模の中でみんなで大事にしてきた大会の場所、大会の価値が一気にひっくり返されてしまったら、多分いろんな人が傷つくし、いろんなことがうまくいかなくなると思います。

なので、カズヤスティーブBANを現実的・健康的に実施するためには、一気にひっくり返すのではなくゆっくり丁寧に浸透させていく必要があるのではないでしょうか。

なぜ主催側がこのキャラたちをBANする必要があると考えるに至ったのか説明し、これからの大会をどういうものにしていきたいかはっきりと明言した上で人を集める必要があります。その際、カズヤスティーブを使って大会に参加してくれていたトッププレイヤーとの対話が必要ですし、その人たちに納得してもらった上で、ファンに対して呼びかける言葉も用意する必要があります。この記事ではずっとBANという用語を使っていますが、その表現方法も工夫しなければいけないでしょう。デュエマやってた人はわかると思いますが、デュエマではカードが強すぎてルールから除外される時、「禁止」じゃなくて「殿堂入り」と呼ぶんですよね。強すぎるので名誉ある殿堂に入りましたと、それだけでかなり感じがいいです。こういう工夫が色んな表現に求められてくるんじゃないかなと思います。BANができるだけ良いように受け入れられるための工夫です。
言葉というものの力はやっぱり凄くて、だから実況やMCが必要なわけですが、「熱い試合です!」と叫べばそんな感じがしてくるし黙って冷めてたら見てる側も萎えてきます。有名な配信者が最高!と言えばそれにノってみんなピースしてくれるもんです。立ち回りキャラがカッコいいって言い合ってたらそんな気がしてきていきなり出てきた珍妙高火力勢い撃墜キャラにびっくりしちゃうんです。それが良いか悪いかとかではなく、そういう流れがあるので利用するべきだよねって思います。僕には影響力ないから偉い人たちがみんなで力を合わせて頑張ってくれ〜〜〜っていうめっちゃ他人任せな気持ちです。プレイヤー側・観戦者側もその意図を汲み取ってうまく受け止める度量が要ると思います。カズヤスティーブBANは色んな人にでっかいダメージを負わせる選択だからやるなら言葉をめちゃくちゃ選んでできるだけダメージが減るようにしよう!って気持ちです。

ただこういう手段があったとして、実際にBANは実行されないしこのまま大会は続くよってなるとは思うんですけど、それは別に何も失うものがない自然な道ってわけじゃないし、上で言ったようなどっちを切り捨てるかの二択は常にあるので、それに向かい合ってるっていう自覚はみんなあった方がいいんじゃないかなと思います。

 

以上で言いたいことは大体終わりです。考えてたことをダラダラ書いてただけなのでうまくまとめられなかったんですが、とりあえずカズヤスティーブBANした時の影響と、それを考えた上で実践的にはどう行われていくべきかについて書いたつもりです。なにぶん僕自身はSP新規勢で、主催者側(と言って良いレベルかわからないですが)になったのもここ最近なので、見逃してる歴史や文脈はたくさんあると思います。なのでそういう指摘あったらどしどしください!そして再三なんですが、この記事は大型大会でBANをやってそれをスタンダードにしようとするとこういう風になりそうだよね〜という想像の記事に過ぎないし、小中規模の大会が自由にルールを制定する上では大きなしがらみは考えなくて良いんじゃねと思ってます。そういう大会が良い例悪い例になってコミュニティ全体の深みが増していくんじゃないでしょうか。

長くなりましたがここまで読んでくれた人、いたらありがとうございました。おやすみ!あとKAGUYAよかったら来て!

https://twitter.com/KAGUYA_SSBU

 

 

 

 

*1:個人的には別にプレイするやつだけでいいし界隈が縮小して消えたらそれもそれじゃねと思うんですが、そんなラディカルな意見が一方的に通るわけはないし、通るのも良くないなと思います

とても詳細にわかるルフレ解説①NB・横B編

こんにちは。Uです。京都を中心にスマブラSPのオフライン対戦環境で活動しています。メインで使っているルフレとはスマブラを始めた2020年の3月からもう2年弱の付き合いになります。大抵のカップルなら片方の浮気がバレ始める頃ですね。僕はもうルフレ以外で勝てないのでこいつを使うしかないのですが、スマブラに真摯に向き合っているルフレ使いならば、キャラ変を考えた回数は今まで食ったパンの枚数より多いはずです。もう良い加減ルフレを止めると決断してホムヒカやシークのトレモをしている人も多いでしょう。しかし、たとえルフレを使うのをやめたとて、今度は対戦相手としてルフレが現れる事になりますよね。ですので結局、使うにしろ対策するにしろ、ルフレの性能にきちんと向き合うことは役に立つと思います。なので今回はまずはルフレを使っている世界中のみんな、そしてルフレを辞めようか迷っている世界中のみんな、さらにはVIPマッチで崖ファイアに当たった瞬間に切断するみんなの為に、ルフレの技の性能を中心に使い方や対策の考察をしていこうと思います。とはいえ基本オフ勢目線で書いてるのでオンだとちょっと微妙かも?

Q.お前の実績で説得力あるの?

A.だって俺より強い人が記事書いてくれないから............

 

サンダー(NB)

かなり強い技です。魔導書を一枚使うだけはあり、発生15F全体39Fダメージは6.6%と、他キャラの牽制用の弾と比べてかなり高水準な設定となっています。比較になるのはルイージのNB(発生17F全体43Fダメージ7.2%)でしょう。あちらと比べて弾の速さが非常に速く、そして電撃属性なのでヒットストップが通常のワザの1.5倍かかるというシステム面の優遇も伴っています。

リーチもかなり長く牽制として優れているのですが、それだけではなく近距離で当てればDAが繋がって火力を伸ばすことができ、差し合いのさまざまなタイミングで価値を持つワザと言えます。回転率の高さがかなり特徴的で、弾よりも長リーチの地上技みたいな感覚で振ると良いかもしれないです(ほんとか?)

弱点は読まれやすさと持続の短さでしょう。ルフレは地上の行動で強いものが少ないので、サンダーの回転率に頼って安定行動だと思い込んで擦りがちになりますが、テンポを読まれてダッシュガードで距離を詰められると苦しい展開になります。特にルフレダッシュつかみが非常に弱いため、通常つかみで取れないくらいの距離感にダッシュガードで追いつかれてしまうと、引き行動をするしかなくなりラインを取られてしまいます。完全に撃つタイミングを読まれているときは、前回避やジャンプで大きなリスクをつけられてしまうこともありかなりヤバいです。

サンダーは強力ですが、一方で「これしかない」という技でもあります。上手く撃てれば中距離を制圧できますが、逆にサンダーの使い方が少しでも下手なだけで地上戦が一気にキツくなります。

東京喰種で例えると『優れた羽赫のクインケ使いがいるとチームの死傷率が70%下がる、逆に言えば羽赫使いが役立たずの凡夫であればチームの死傷率が70%も上がる』って瓜江が不知に言って圧をかけてたのと同じ感じです。

溜めに移行してフェイントをかけたり、意味深な前ステを混ぜたりして工夫しましょう。僕はこれが下手で一生地上戦が弱いです。上手くなりてー。誰か教えてください。

ちなみに、高%で空中で根元を当てると着地を挟んで小ジャンプ空中攻撃が繋がります。意外と狙いやすいし偶然その状況になることもままあり、場合によっては撃墜択になるので練習してみても良いかもしれないです。僕はあまり使いこなせてません。

エルサンダー(NB2段階目)


NBは25F溜めるとエルサンダーになります。魔導書の消費ページは3枚と少し重めですが、かゆいところに手が届く良い技です。ところで、NBの使用回数は雷の魔導書で統一管理されており、20ページ消費した時点でルフレは一冊捨てて、12秒間NBを使えなくなります。エルサンダーは3枚消費なので、最大でも7連射までしかできません。オンラインルフレの弾ガン待ちがうざかったらとりあえずずっとガードしてれば撃てなくなるので安心です。

エルサンダーは射程が非常に長く、ダメージはサンダーのちょうど2倍の13.2%です。ふっとばしも高く、当てたら展開が取れるので更なるリターンが期待できます。反面、弾の速さはサンダーほどではなく、ルフレは足が遅いため遠距離に向けて撃った弾と一緒に攻めたりすることは不可能なので、適当に撃つだけではガード安定で簡単に対応されてしまいます。基本的には牽制目的で前回避や前ステを読んで撃つか、引き行動に対して追い討ちをするように撃つかのどちらかで使うのが良いと思います。とにかく目的意識無しで撃つべき弾ではありません。

発生は溜め保持状態からなら8Fとそこそこ早いので、復帰や着地中など相手が慌てている場面で撃つと当たってそのまま撃墜したり、当たらなくても回避やジャンプを切ってくれて追撃可能になったりします。読み合いするのが面倒だったら撃ちましょう。

ギガサンダー(NB3段階目)

かっこいい。英語ではアークサンダー(Arcthunder)なのでグローバルなRobin mainを目指してる人は気をつけましょう。魔導書を5枚消費して多段ヒットする紫色の遅い球を撃ちます。発生はエルサンダーと同じで溜め保持状態からなら8Fで出ます。

ルフレを象徴する技の一つです。ダメージは脅威の28%。弾速の遅さにより相手の回避やステップに噛み合うことが多く、中距離ならばヒットしてもガードされてもダッシュ掴みや空中攻撃が確定するので、対応できる択が多いです。撃たれる側としてはジャンプで避けるのが正解ではありますが、距離によってはルフレの対空の展開にされてしまうので、ギガサンダーを持っているルフレには近づかないで遠距離で待つのが最も良い対策かと思います。一度ギガサンダーを溜めてしまうとエルサンダーで遠距離を牽制したりサンダーで様子見したりすることができないため、待ってさえいればルフレ側はギガサンダーを手放さざるを得なくなるんですね。あれ、もしかして弱い?

実際最近ギガサンダーの撃ち方がわからなくてちょっと迷走してるので良いアイデアがある人いたら教えてほしい......。

ところでギガサンダーにはもう一つ、シールド削り値のマイナスの補正を受けないという特徴があります。スマブラSPではワザのシールド削り量は【(基礎ダメージ+ワザ特有のシールド削り値)×1.19】%と定まっているのですが、ver3.0.0からほぼ全ての飛び道具系のワザがマイナスのシールド削り値を持つようになり、弾でシールドを削ったり割ったりするのが難しくなりました。しかしギガサンダーはその修正をすり抜けています。要はめっちゃ割りやすいってことです。

前述した式を元にすると、ギガサンダーのシールド削り量は大体33%。シールドの最大耐久値は50%なので、追い討ちで14%(17%÷1.19)を超えるダメージのワザを当てれば確定でシールドが割れることになります。各種空中攻撃がその条件を満たしますが、あれらは割らずにシールド漏れで当たってしまう場合が多いのが難点ですね。地上技だとDAのダメージが根元で12%ですので、少し削れている状態であれば割ることができます。ルフレがシールドを割った場合、ギガファイアを使うことで一部のキャラ以外には大きなリターンを出すことができるので、使う側は積極的に狙い、受ける側は最悪シールドを外すなどして対策をしましょう。

トロン(NB4段階目)

かっこいい。かっこいいだけ。画面全体に壁を貫通して当たるレーザーを放ちます。発生は23Fとバカ遅く、ダメージはフルヒットでも22%程度。吹っ飛ばしも大したことがないです。魔導書も8枚消費します。強い所なくね?復帰阻止で使えそうな雰囲気はなくもないけど、それならエルサンダーの方が速くて強そうだし......。

僕はこのワザ弱いと思っていて全く使わないのですが、「これ使えるよ!」と考えているトロンに自信アリの方がいれば使い方教えてください。一応高%からだと崖ギガファイア設置からトロンで詰ませたりできるのですが、そもそもその%ならギガファイアさえ設置すればエルサンダーでもDAでも倒せるので、わざわざ崖展開を見越してトロンを溜めて立ち回りで他のNBを使えない状態にするのは普通に良くないのでは......。

ちなみに、ルフレにはNBのOPは全段階で共通という仕様があります。序盤にサンダーやエルサンダーを撒いていると、トロンにもOP相殺がかかって弱くなるんです。きちんと飛び道具で立ち回っていると、終盤にトロンで撃墜する頃には無限にOPがかかっていてよりダメージも吹っ飛ばしも低く......という悲しい状態に。

さらにちなみに、トロンのレーザーはステージの台や壁は貫通しますが、ティーブのブロックに真横から撃つと貫通しません。しかし、ジャンプしてスティーブのブロックよりも上の高度でトロンを撃つとレーザーが降りながらブロックを貫通します。この仕様は少々特殊ですが、対スティーブを考えている人は覚えておいてください。スティーブの採掘にトロンで簡単にリスク付け!とかは、無理です。ブロックを三つ積まれたら2段ジャンプしないとトロンをスティーブに当てられず、そんな悠長なことをしていたら普通にガード安定で魔導書を使い捨てるだけになっちゃいます。残念だね。

ギガファイア(横B)

かっこいいなあ。両手を頭上に掲げて生み出した炎弾を斜め下に振り下ろして放ちます。炎弾は地面や他のキャラに当たると着火して多段ダメージを与える火柱が立ちます。全部当たるとダメージは20%弱と高く、その代わりに全体63F発生17Fとフレーム周りは重めです。ルフレの火力・撃墜の起点になるワザで逆転のキッカケにもなります。%有利を取っていたのにギガファイアに一回当たっただけで二連ファイアで台上に運ばれて上スマで飛ばされてあったまった経験、ありませんか?硬派に立ち回ってたのにちょっと対処間違えただけでデカいダメージ出されると腹立ちますよね。気持ちはすごいわかります。でもこのワザに関しては当たる人が悪いです。立ち回りでの話ね。不利状況とか崖は別。

対策を説明しますと、まず第一に炎弾自体を消すことです。火柱には相殺判定が無いですが着火する前の炎弾にはしっかり相殺判定があります。フレームの軽い空中・地上攻撃を当てるか、より回転率の高い飛び道具(ヤンリンの矢、ピカチュウの電撃など)を撒くなどして消しましょう。相殺しながら密着展開を作ればルフレにとっては不利な状況になりますし、そもそも無駄に魔導書を使ったことになるのでディスアドです。第二に、ルフレが「ギガファイア!」と言って手を頭上に掲げたのを見てから前回避すれば内側に回り込めます。そしたらもうなんでも確定するので好き放題やっちゃってください。ただし、ある程度意識を割いておかないと反応が間に合わない場合があり、また大きいキャラだと前回避中のモーションにギガファイアが噛み合ってしまうこともあるので、相殺するのが安牌ではあります。わからせたかったら前回避を通しましょう。しゃがみも結構いいかも。

しかし万が一、万が一ですよ。上記の対策を徹底した上でそれでもついうっかりギガファイアに当たってしまった場合についてですが、その際は気合を入れてずらしましょう。ギガファイアはざっくりと体の前側か後側かのどちらかに着火します。着火する位置はルフレとの距離感によって決まり、密着以外の場合なら基本的に前側に付きます。ずらしの向きはその逆です。前側に火がついてるなら後ろに、後側に火がついてるなら前にずらしましょう。ルフレの空中攻撃の発生は早いので、基本的にずらしに対応したワザ置きが可能なのですが、ギガファイアから受けるダメージを減らせるし、横スマや上スマは間に合わなくなるので基本はずらし得です。ギガファイアに一発当たってずらさないと最低でも30%、高くて50%、あるいは撃墜までつながってしまうことがあるのでずらしはやった方がいいです。ルフレを使う人もちゃんとずらしは見ようね。僕はたまにしかできないからもっと頑張りたい。

ギガファイアをガードしてしまった場合も食らった場合と対応が似ています。ガードの前側に当たっているときは後ろ回避、後側に当たっているときは前回避をしましょう。回避の向きを合わせてしまうと前隙に当たってしまいます。その場回避は後隙に当たってしまうのでおすすめできません。ガードが削れているときはちゃんとシフトすれば漏れません。とにかくガードのどの部分に炎がくっついてるか見ること!

やはり前側にギガファイアが当たることが多く、基本的にガードした後はみんな後ろ回避をするので、それを読んでダッシュ掴みに行くのを僕はよくします。結構通るのでオススメです。エルサンダーを撃つだけでもいいかもね。ギガファイアを当てられなくてもガードさせるだけで有利な読み合いになるので、最低でもガードしてもらえる状況だけでギガファイアは振ろうね。透かしとか。後は引き行動や回避を読んでぼったくるのが主な使い方だと思います。それ以外では、使うな。僕も手癖擦りはやくやめたい。

 

崖ファイアについて

おおよそ対ルフレで一番悩むところは崖ファイアだと思うので、解説をします。

前提として、崖つかまりはまずいわゆる「崖の2F」から始まり、次に崖つかまり移行の19Fの無敵時間を経て、最後に崖つかまり中の無敵時間(いわゆる崖無敵)に到達するという流れです。この最後の崖無敵の時間が掴む側の蓄積%と対空時間の長さによって変わるという仕様が崖の読み合いにおいてかなり重要です。具体的な崖無敵の計算式は【44F+(滞空フレーム×0.2)-(蓄積%×44÷120)】(滞空フレームの最大値は300F、蓄積%の最大値は120%)となっており、計算してみればわかりますが、蓄積%が高く滞空時間が短いほど崖無敵が減り、その最大値は104F、最小値は4F(これはどうも計算上ではなく仕様らしい?)となっています。

*1

 

さて、この前提を確認した上で、次にギガファイアを崖上に設置した際に起こることを説明します。地上でのギガファイアは発生してから40F後に地面に到達し火柱が立ちます。火柱は50F持続して当たった相手を拘束した後、2Fの〆部分で吹っ飛ばします。つまりこれを崖上に設置すると、設置された瞬間から52F間は崖付近に攻撃判定が出続けている状態になるわけです。ここで先ほどの無敵時間の話を考えてみましょう。仮に掴む側の崖つかまり移行がちょうど終わるタイミングで(つまり崖無敵が始まるタイミングで)ルフレがギガファイアを設置した場合、掴む側の崖無敵が52Fより多かったら、崖無敵が切れる前にギガファイアが終わるので、掴まりっぱに炎が当たることはありません。しかし逆に崖無敵が52Fより短ければ掴まりっぱに炎が当たってしまいます。(姿勢の問題で無敵時間に関係なく絶対に崖上ファイアに当たらないキャラもいます。ラッキーですね)

では掴まりっぱをやめて崖上がりをした場合はどうなるのでしょうか。その場、ジャンプ、攻撃上がりについて考えましょう。これらは行動中に崖上ギガファイアの火柱を経由することになりますが、上がりぎわに一定の無敵時間がついています。キャラごとに違いますが、その場上がりは大体30F、ジャンプ上がりは12F、攻撃上がりは25Fです。どれもギガファイアの52Fより短いので、この無敵時間だけでギガファイアをやり過ごすことは不可能です。もしも【(火柱が設置されてから崖掴まりをした時間)+(選択した崖上がり行動の無敵時間)】が52Fよりも短ければ、無敵が漏れてギガファイアが当たってしまいます。そうなるともう大惨事です。ギガファイアの持続の残り時間によってルフレ側が取れる行動が変わってきますが(最長で確認して横スマ、最短で読みでDA)崖展開の継続か、最悪撃墜につながるわけです。

攻撃上がりで炎を打ち消すことはできないの?という質問をされることがあるのですが、攻撃上がりの攻撃判定の持続2Fが、ちょうど火柱の〆部分の2Fに噛み合えば消せます。タイミング次第です。攻撃上がりをするのが早いと普通に火に当たります。

(9/22追記)攻撃上がりについては検証をちゃんとしてないので嘘かもです

では回避上がりをして避ければいいのでは?ということになりますが、これもうまくいかない場合があります。ギガファイアが地上に着いて火柱になるまで40Fかかり、その後火柱は52F持続すると説明しましたが、一方でルフレの横Bモーション自体は63Fで終わります。つまりギガファイアの持続が終わるまで29Fの猶予がルフレ側に与えられるわけです。ルフレはこの29Fを使って横B空前やら横B上スマやらを確定してニチャってるんですが、崖上でギガファイアを振ったルフレにとって、この29Fは回避上がりを自由に狩ることができる時間です。ギガファイアを避けて回避上がりをしたら弱攻撃を合わせられた!という体験、覚えがありませんか?あれはこの29Fに上がるタイミングがちょうど噛み合ってしまったから起こったんです。

回避上がりの全体フレームは一律45F。横Bの全体Fが前述の通り63Fなので、ルフレが横Bを使ってから18F以内に回避上がりをしないとルフレ側が後隙を狩れる状態になってしまうんです。18Fとか言われてもわかんねえよという人、ギガファイアが着火するのに40Fかかりその時点で18Fはとっくに過ぎているため火柱がある状態で回避上がりしてももう遅いということだけ覚えてください。回避上がりはルフレが2回目のギガファイアを打つかどうかの読み合いでしか通用しない択です。

(9/22追記)人間が見てから指動かすまでのフレームの限界が大体13Fくらいらしいので、ギガファイアのモーションを見てから回避上がりは多分無理です

じゃあギガファイア強いじゃんハメ技じゃん削除しろと思ったあなた、安心してください。今まではルフレをポジるために恣意的な論理展開をしています。現実はこんなに一方的ではありません。先ほどこっそりと仮に掴む側の崖つかまり移行がちょうど終わるタイミングで(つまり崖無敵が始まるタイミングで)ルフレがギガファイアを設置した場合」という文章を差し込んでいたのに気づきましたか?そう、実はギガファイアの読み合いは崖を掴むタイミングによってルフレ側の強さが変わるんです。正確には、崖に掴まった瞬間とギガファイアが設置された瞬間との間のフレームの長さによって異なります。上述で仮定したような崖掴まり移行の19F終了時から+10F*2の瞬間に置くのが一番強く、そこからズレるほどギガファイアの読み合いは弱くなります。置くタイミングが早すぎれば無敵時間だけで簡単に凌げてしまい、遅ければ回避上がりから反撃が間に合ってしまうからです

つまり崖で待つルフレ相手には、滞空時間を伸ばして無敵時間を稼ぎつつ、崖を掴むタイミングを毎回変えてギガファイアの設置タイミングをズラさせることが重要なわけです。その際、頭が出るタイプの復帰のキャラは遅らせすぎるとギガファイアを崖の2Fに先置きされて絶対に当たる状況になってしまうのでそこだけは注意してください。

また、ルフレ側がギガファイアのヒット確認ができるかも重要です。崖狩りミスによるラインの入れ替わりが怖いので基本的にルフレ側はヒット確認をしてから追い討ちをしたいのですが、ギガファイアの持続が残っていないとすぐに燃え終わってしまいヒット確認ができないわけです。なので崖掴まりをたっぷり遅らせてから火柱に当たれば、ルフレ側は当たらないとみて二回目のギガファイアを振るか当たると信じてDAやエルサンダーを置くかの二択をするしか無くなります。二回目を振らせれば回避上がりを楽に通せて反撃ができるわけです。

さらに、掴まりっぱでわざと当たることも実は対策になります。ギガファイアの火柱に当たると、当たったキャラは多段の攻撃判定を食らいながら徐々に上昇していきます。崖掴まりっぱの時には、この上昇があってようやくルフレ側のDAや空Nが当たるわけなので、火柱の持続の最後の方だけが当たった場合は追撃は難しいんです(一応当たった後に飛ぶ先を読んで空前を置いたりは理屈上できますが、僕は下手でできないです)。なので、無敵時間が長くてどうせ最終段しか当たらない場合は、わざと食らってもう一度無敵時間を確保して、のループを炎の魔導書が切れるまで行えばギガファイア無しで崖上がりができます。6回ギガファイアを使ったら炎の魔導書はおしまいです。6回くらい耐えられそうじゃないですか?だって最終段だけだったら4%くらいしかないですよ。まあギガファイア無しルフレの崖狩りも割りかし強いので上手い人相手には意味ないかもしれないですが......。

以上、まとめると

・崖の無敵時間が短いほど崖ギガファイアの読み合いが苦しくなるので、無敵時間を稼ぐ工夫をする。

崖ギガファイアにはちょうどいい設置のタイミングがあり、それからズレるほど崖が上がりやすくなる。復帰する側はルフレ側にタイミングを読ませないようにする。

・回避上がりはタイミングによっては絶対に狩られてしまう。ギガファイア発動から18F以内にしないと不利フレームを負う。火柱が上がってからしても手遅れ。

・頭が出るキャラは崖の2Fに先置きされると厳しいので注意。

 

ちなみに、ルフレ側が横Bを振る場所をきっちりと調整すれば、崖先端にくっついてから落ちていくギガファイアという特殊な置き方をすることができて、これをすると崖上に頭が出ないキャラ相手でも崖の2Fを狩ることができます。それ以外の読み合いも通常通りに回るので、崖上ギガファイアの上位互換なのですが、実戦で使っている人は少なく、安定している人はもっと少ないです。そもそもルフレ使い自体が少ないがな。もしもルフレを使ってて勝てないだの弱いだの辛いだの騒いでるやつがいて、そいつが落ちるギガファイアを使っていなかったらそれは完全にそいつの努力不足でしかないので「トレモもまともにやってないのに喚くなカス」と詰めてやりましょう。

長くなりすぎたので一旦NB・横B編という区切りでまとめさせてもらいます。読んでくれてありがとうございました。文章内に間違い・愚かさ・醜さなどあったらご指摘いただければ改善を図りますのでぜひよろしくお願いします。では〜。

 

参考文献

smashwiki.info

w.atwiki.jp

docs.google.com

docs.google.com

フレーム周りに関しては、トレモで自分である程度確認を取った上で解説をしています。

 

*1:

詳しい仕様はこちらのサイトへ。

ガケ - スマブラSPECIAL 検証wiki - atwiki(アットウィキ)

*2:最速ジャンプ上がりの移行フレームが10F。この設置よりも早く崖を抜ける方法は無く、かつ持続を最も伸ばせるタイミングがここ

忘年

生まれてから年忘れということをできた試しがない。おかげで小三の時のアレも小五の時のアレも中一の時のも中二の時のも中三高一高二高三の時のアレコレも覚えたままで、ふとした瞬間にフラッシュバックして僕に枕を殴らせる。除夜の鐘は黒歴史を消してはくれない。布団の中で思い出と格闘する日々がこのまま一生続くと思うと憂鬱になってきた。憂鬱すぎてブログを書くしかなくなったので、僕の愉快な一年を素敵に書き綴ってみることにする。以下、そんな感じである。

 

※この部分を書いたときはまだ2020年内だった。 

一月

いよいよ何も考えずに勉強しているわけにはいかなくなってきた頃だ。センター試験を前にして、僕はいよいよどこの大学を受けるか決めなければいけなくなった。「東大を目指して勉強しておけば、志望校がきちんと定まった時、それがどこだとしても対応できる学力が身につくはず」という詭弁で親と教師を説得して決断を遅らせながら東大志望の顔をしていたのが受験生の頃の僕だった。もちろん純粋に東大に行きたいという気持ちもあったのだが、高二の春から足かけ二年間の受験勉強をやり切るにはモチベーション不足というのが正直なところだった。そんなわけでやる気が尽きて月の前半は駄目だった。本当に僕は東京大学を受けるのか?マジで?でも漢文もリスニングも結局全く勉強してないし、センター試験もやる気しないし、受かる気全然しないんだけど......みたいなことをずっと考えて勉強に身が入らない日々だった。親に「結局どこ行くの?」と聞かれて「京都で暮らしてもいい?」と聞き返した最終志望調査直前の夜までそれが続いた。親が好きにしろと言ってくれたので、京大を受けることになった。志望を変えたはっきりとした理由は覚えていないが、多分四畳半神話体系を読んだからだと思う。高校生の僕が「京都」「京大」という単語に過剰な幻想/期待を投影していたのは確かである。戯言シリーズも大好きだったし。ともあれセンター試験も間近に迫り、志望校もはっきり定まって、ついに受験勉強の総仕上げの時期だという自覚が出てきた。試験二週間前からは全教科の過去問を解き始めた。答え合わせの片手間にシャニマスのリセマラをしたりしていたが、それ以外では結構本気で頑張っていた。休憩と言って流行っていたCODモバイルをインストールして遊んでいたが、本気だったのは間違いなかった。

 

 

受験当日は何度も荷物の確認をしたので受験票も筆入れも忘れなかった。ヘッドフォンで『Ready!!』を聴きながら乗った東京メトロの車両は高校生だらけで、駅に着くごとにさらにどんどん増えた。そのほぼ全員が一限の公民対策と思われる、需要供給曲線が描かれたプリントを見ていた。とにかく現実感がなくて、模試にでも向かっているような気分だったのを覚えている。駅で同級生を待つ間に、道が分からなくて駅員と揉めているお爺さんが居たので助けてあげた。PASMOの使い方がわからないよくいるタイプのお爺さんだった。僕の大学受験とか何の関係もなく世の中は動いているんだなと思った。

 

READY!! (M@STER VERSION)

READY!! (M@STER VERSION)

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徳を積んだおかげか成績は結構良かった。二日目が終わった後、帰る電車の中で自己採点をしてZ会から送られてきた点数調査にデータを放り込んだ。返ってきた調査結果の『第一志望 京都大学理学部 C判定』の表示はめちゃくちゃ嬉しかった。それまで僕は受けた東大模試の全てでE判定だけを取ってきていたので、二次試験の一ヶ月も前に出たCの文字はそれはもう嬉しかった。嬉しかったのでめちゃくちゃに勉強した。成果として、溜めていた四ヶ月分のZ会をセンター後の一週間で処理して塾の窓口で一気に出した。70枚近い解答用紙を、受け取り間違いのないように何度も数えるチューターさんが気の毒だった。そうして1月が終わった。

 

 

ところで、僕が東大を志望していた一番の理由は進振り制度だったのだが、京大に出願するにあたっては理学部を書いた。当時の僕は総合人間学部の存在を知らなかったのだ。当然後悔することになった。馬鹿野郎。

 

二月

月の大部分を「僕は勝てる」という気分で過ごした。通信教材を全部出し切ったことが大きかった。気分が良かったので塾の直前講習のキツめのスケジュールも調子良くこなせた。とはいえやっぱり馬鹿だったので、間違えて文系の教室でテストを受けたりした。塾の先生に疲労でおかしくなっているのではないかと心配されたが一笑に付した。

ちなみに実際におかしくはなっていた。月の前半はセンター後の勢いで誤魔化されていたが、二週間目が終わる頃には精神にガタがきてしばらく動けなくなった。大学に受かれない気しかしなかったし、落ちたら人生が終わるようにしか思えなかった。お気楽に受験勉強をやってきた身には初めての鬱は結構こたえた。ベッドに上半身だけを置いてずっとスマホでなろう小説を読んでいた。ネット小説文化を馬鹿にすることで自我を保ち高校三年間を生きてきたオタクにとっては自傷行為に近い行いだった。

とはいえ結局根がお気楽だったので二日で立ち直った。併願の早稲田の受験日が迫っていたので過去問を三年分解いた。出来は微妙だったが特に根拠もなく余裕モードだった。当日は「他の奴らは受験料を納めに来ているだけだが、僕は受かりに来てるんだよな」みたいな何番煎じかもわからない文章をツイッターに書いて5いいねくらい貰った。受験生がやる中でもかなり痛い方のツイートを臆面もなくできるくらいには余裕があった。実際の試験はかなり焦ってしまい思い通りにいかず、英語を捨てて全振りした理科も数学も奮わなかった。しかも、時間をかけた数学の大問5に大きな出題ミスがあったことが発覚し、全員に点が配られることになってしまった。ミスの内容は注意深くグラフを書けば看破できるようなものだったので気づかなかった自分が悪かったのだが、精神の安定のために早稲田大学の悪口を家で言いまくった。親は微妙な表情をしていた。早稲田卒だったから。

それから京大の二次試験日までは過去問を解いた。時間は少なかったが、どうにか五年分くらい解いた。結構出来が良かったのでやっぱり「僕は勝てる」と思えていた。二次試験前日の2/24に京都入りしてツイッターに「現着!」と書いて京都駅の写真を上げた。夜は無理のないように数学の過去問だけ解いて後はちょうど行われていたFrostbite 2020の試合動画を見ていた。MKLEOがルーザーズランの末当然のように優勝していた。


Frostbite 2020 SSBU Winners Top 96 - MkLeo (Joker) Vs. Armada | Prodigy (Mario) Smash Ultimate


Frostbite 2020 SSBU Losers Semis - SG8 | Tea (Pac-Man) Vs. MkLeo (Joker) Smash Ultimate Singles


Frostbite 2020 SSBU Losers Top 8 - GW | Zackray (ROB) Vs MkLeo (Joker) Smash Ultimate Singles

Frostbite 2020はスマブラSP史上最も荒れたトーナメントなのではないかという話がある。PGR1位がTOP96で敗者側落ちしたり、日本の最上位勢が次々と同じソニックに轢かれて敗者側で同郷殺しをさせられたりしていた。

僕の受験も大荒れだった。自身に溢れ、4完は堅いと思っていた数学で0完をやってしまって最悪だった。挽回が懸かった二日目最後の科目の理科もおしまいだった。慌てすぎて試験終了を30分前倒しで思い込み次々と大問を切った。結果化学は有機以外白紙になった。メインウェポンであったはずの物理の記述が全然書けなかった。無力感に泣きそうになりながらどうにか頭を動かして時間終わりまで解答を続けた。試験室を出てスマホを見ると早稲田の合格発表時間が過ぎていて、見ると不合格だった。しばらく虚無感に包まれて何も考えられない時間が続いた後、泣いた。京都駅に向かうバスの中だった。周りは同じような受験生ばかりだったが、泣いているのは僕だけだった。

父親と合流して駅ビルでラーメンを食べ(味が薄くて全然美味しくなかった)、新幹線に乗って家に帰った。二月の記憶はこれ以降ない。

 

三月

勢いで大量に書き過ぎてしまったのでこれ以降は文量を抑えようと思う。

最初の1週間は後期の北大に向けて勉強をする必要があったが、当然やる気は全くわかなかった。勉強すると言って友人と一緒にスタバやサイゼに行きスマホを弄りながら喋るだけの日が何日か続いたが、3日だか4日だかに北大の入試が新型コロナの影響で中止になることが決定してしまい、完全にやることがなくなった。サイゼでその知らせを見たとき、北大が第一志望だった友人は目の前で青い顔をしていた。一方僕はどうしようもなさすぎて笑っていた。そのあとしばらくテンションが高かったので親に心配された。同情もされた。同情されすぎてSwitchを買ってもらえたので、スプラトゥーン2スマブラをやり始めた。合格発表の時の事はよく覚えていないが、嬉しかったのは確かだと思う。

卒業式と卒業旅行は楽しかった。最後だしちゃんと歌おうと思って校歌をコソ練していたのだが、感染対策とか言って斉唱が中止になってしまって残念だった。卒業旅行では、友人7人くらいで野沢温泉に行ってスキーをした。ただただ楽しかったので書くことがない。

京都に行くとき、東京駅に友人達が見送りに来てくれた。別れ際の「大学ではね、ちゃんと成績とってしっかりと学生をやっていこうと思うよ。」という僕の発言を信じてくれた奴はいなかった。

 

四月

京都大学に入学したが、入学式はなく、授業も始まらなかった。なのでただ寮に住んでいる人をやっていた。新入寮生はまだ京都に来たてですることがあまりない人が多かったので、たまり部屋でお互い一緒に居る時間が多かった。食費節約のために毎日鍋を食べていた。徹夜をして明け方にラーメンを食べにいくとか、暗い部屋でホラー映画を見るとか、ボードゲームをしながら倫理や道徳の話をするとか、そういうことがいちいち新鮮でやたら楽しかった。

寮にスマブラができる奴が何人かいて、彼らと対戦していくうちにすっかりこのゲームにハマってしまったのもこの時期だ。特にこいつには勝てない!という奴が一人いて、彼に勝つことが四月からしばらくの間ぼくの目標だった。

ところで、人生において僕が好きなゲームを好きなだけする時間と、金と、何よりゲーム機を持てたのはこの春が初めてだった。なので好きなゲームを好きなだけすることにした。4月はUNDERTALEとペルソナ5Rをプレイした。どちらもかなり面白かった。ストーリーや演出の妙、やり込み要素やバトルシステムの楽しさもさることながら、BGMが本当に素晴らしかった。ゲーム音楽、いいな〜〜〜と思い始めたのはこの二作がきっかけだったと思う。

Rivers In the Desert

Rivers In the Desert

  • provided courtesy of iTunes
Death By Glamour

Death By Glamour

  • provided courtesy of iTunes

二作品ともサントラがApple Musicにあって助かった。ロイヤルのサントラは別で欲しいから単体で再販して欲しい。 

 

五月

生活が安定してきて、真新しいことも少なくなってきた。大体やっていたことは四月と同じだ。ラヴェンツァ相手に苦戦して一生Rivers In the Desertを聴いていた。スマブラはだんだん上達してきたがまだ全然勝てなかった。寮の人に色々な麺屋に連れて行ってもらった。鶏谷も藍も美味かった。百万遍にその頃できたびし屋系列のカフェの鶏白湯つけ麺もなかなかだった。

あとはめっちゃカルボナーラを作っていた。三日に一回は作っていた。食べたかったから。

初回はネットのレシピに従った結果めちゃくちゃ味が薄くてしゃばしゃばしたソースを生成してしまった(実際のところ、レシピに従ったのは半分までで、それ以降は見るのが面倒で適当にかき混ぜて火を通した)ので、次はそれを見ていた料理上手に教わった、味をまとめる方法を意識して挑戦した。そうして完成した二回目は塩味が強すぎて食べられたものではなかった。今回も、もらった助言で指定された量の三倍くらい塩を入れた結果(「もっと入れた方が味がはっきりするっしょ!」)なので指示を守らなかった僕が悪かった。致死量に近い塩分を含んだ産業廃棄物を作り上げてしまったことでいい加減レシピを守ることを覚えたので、それ以降はきちんと手順通りに作るようになった。結果として、失敗はしたしお金もかかった(ソース用の生クリームが高いのだ)が、安定してそれなりに美味しいカルボナーラを作れるようになったので、中々いい勉強になったと思う。

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一回目(牛乳を目分量で入れたので多すぎた。白い)

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二回目(色はカルボナーラに近いたが、中身はほぼNaCl)

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三回目(胡椒をかけることを覚えた)

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五回目(かなりいい感じだ!)


六月

カツオを食いにいくぞ!と深夜に言われたので車に乗ったらそのまま高知に連れて行かれた。高知は海も山もあってとても良かった。『少女が見た日本の原風景』みたいな場所だった。

旅行の思い出は切り売りすると色褪せてしまうので、ここでは写真を上げておくに留める。良い一泊二日だった。

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SAから見た朝の明石海峡大橋

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鰹のたたきの実演販売。下で燃えてる藁の束が鰹に麦の香ばしい匂いを染み込ませる。

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高知の名物料理:屋台餃子。小さくて食べやすい。皮の焼き方は固めでスナック感覚

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淡路島SAの展望台から見た景色。ここにはなんでもあるような気がしてくる。

一個目のサークルに入会したのもこの時期である。入った理由は深夜の勢いなのだけど(夜に考え事をしていたら「ここでサークルに入らなかったら一生どこも入らないんじゃないか?」という思考に突然支配されてしまいDMに凸った)、新歓には参加していたし、サークル内の雰囲気も良かったので結果オーライだった。とりあえずDTMをやるためにLogic Pro Xのトライアルを始めたが、起動方法からトラック生成の仕方まで、とにかく操作を覚えるのに時間がかかった。一ヶ月くらいはかかったと思う。音楽理論に至っては、「コードって何?」「ベースって何?」からだったので導入にそうとう時間がかかった。月末にどうにか1分半くらいの尺の曲を作ることができて、とても嬉しかったのを覚えている。

同時期にスマブラも変化があった。寮内だけで戦っていても拉致が開かないと思い、KUSC(京大スマブラ会)のオンライン新歓に参加したのが契機だった。自分や寮内のプレイヤーより遙かに強い使い手と戦って刺激を受けたうえ、「君くらいの実力なら、とりあえず色んな相手と戦って経験を積むべき」というアドバイスと共に、京都下鴨で開催されているオフライン対戦会「すまみやこ」の存在を教えてもらったのだ。その二日後に僕はその「すまみやこ」に初参加し、宅オフという場所、強豪プレイヤーの数々、まだ見ぬテクニックやキャラの数々に衝撃を受けた。同時に目の前に上位プレイヤーになるための道が突然用意されたようにも感じ、急激に高まったスマブラへのモチベーションと共に、以後僕はすまみやこに通い詰めるようになる。行くたびに容赦無くボコボコにされたが、そのおかげで自分の悪い部分が段々と矯正されていった。

lyc.hatenablog.com

月末にはポケモンシールドを買った。僕はポケモンをやるのは初めてだったので(そもそもプレイするゲーム機を持ってなかった)「どうせ流行りもののお子さま向けコンテンツだろ?まあ教養と思ってやるけどさ......」みたいな態度だったが、当然のようにハマって三日間ずっとガラル地方を駆け回っていた。ポケモンリーグでのホップ戦で泣いた。まどろみの森でのラストバトルも泣いた。

ゼノブレイドDEもやった。面白かった。メリアの年齢が88歳であることを知ったとき異常に興奮したのを覚えている。

この頃から授業には出なくなった。

 

七月

六月から地続きで同じようなことをやっていた。他には、酒が飲めないのに飲み会に連れてかれて居酒屋で牛乳をたらふく飲んだり、初めての麻雀で誘ってきた先輩に16000点持ってかれて(「それロン!」)麻雀アンチと化したり、黛冬優子のG.R.A.D.編を読んで限界オタクになったりした。

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なんだこの女!!!!!!!!!!????????
(引用:アイドルマスター シャイニーカラーズ)

 

加えて7/11にはSHOW ROOMで星井美希のライブがあった。もう凄かった。とんでもない衝撃が脳から爪先までを貫いて僕はしばらく自室に縫い止められた。星井美希は生きていた。彼女は確かに僕らと同じ世界にいて同じ地面の上でステップを踏み同じ空気を震わせて歌を響かせ同じ時間軸に暮らしているんだ!!!!!!!!

なんてこった!!!!

みたいな気持ちだった。詳しくは過去ツイートを参照。

 

あとはオリガミキングを買って遊んだり、シールドのランクバトルに参加するために厳選を始めたりした。あとはアイドルマスターシリーズ15周年記念で数日おきに公開されていたアニマスを見返していた。最終日にはムビマスも公開された。初見だったのでむちゃくちゃ楽しみにしていた。部屋の電気を消して布団にくるまりながら見た。

めっちゃ良かった............

天海春香というアイドルの強さを見せつけられてどうしようもなくなった。所々にちらつく星井美希天海春香の間の信頼関係はあの二人でしか作られないものという感触があって最高だった。加えて元々ミリからアイマスに入ったので、お馴染みのミリオンスターズの登場に単純に心が踊った。春香に憧れてアイドルを志した矢吹可奈の存在によって、天海春香TVシリーズを通じて確かになりたかったアイドルになって自分が受け取った声を別の誰かに届けることができたということが明示されたのが本当に嬉しかった。矢吹可奈が河原で呟くのが自分REST@RTなのも最高のリフレインだった。そして最後のM@STERPIECE、もう最高だった。映画館で見たかったナア〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。

すまみやこにはだいたい週一で通っていた。相変わらずボコボコにされる日々だったが、手癖が修正されてきて、試合内容は以前より良くなった。 

八月

あまり激しいことが起こらなかった月だった。アジェンダ283のコミュを読んで再び限界オタクと化したり、注文したM@STER ARTIST 4が届いてNew Me, Continuedを聴いて死んだりした。FE風花雪月を買い、青獅子と黒鷲をプレイした。とても良いゲームだったのでいろんな人に布教したが、プレイ時間の長さがネックになってあまり良い反応をもらえなかった。内装を見て試しに入ってみた焼きそば屋が美味しくなくて落ち込んだり、丸二の素麺定食をもりもり食べて元気になったりした。

月末に自室でメイクが流行り始め、同居人が通販で買った化粧道具をいじって睫毛を伸ばしたり頬を白くしたりして楽しんだ。この頃から自室がたまり部屋になり人が集まり始めた。

すまみやこに行く頻度は週二になった。KUSCに正式入会し、定期活動に参加し始めた。以前より試合が見えるようになったという実感があったらしく、ルフレと別に使うサブキャラを探し始めた。クロム、フォックス、サムス、ピットなどなど色々試したが芳しくなかった。簡単さと強さを兼ね備えたパルテナが正解なことはだいたいわかっていたのだが、パルテナを選ぶのはシャクだったので考えないことにした。

 

前期の成績が開示された。取得単位数は2。

 

九月

八月と同様に楽しい夏休みを過ごしていた。月初に丸二が閉店し周囲が嘆き悲しんでいたが、僕はことの重大さをあまり理解していなかったので普通に暮らしていた。花火をしたり裁判を傍聴したり帰省して高校同期と遊んだりした。出身高校にお邪魔して寮監さんや教師の人たちに現状を話して安心されたり呆れられたりした。月末には天橋立にもいった。魚料理がめちゃくちゃ美味かった。海の水がアホみたいに透明で空が写りまくっていた。

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パノラマ撮影した京丹後の海。綺麗すぎ〜〜〜?

自室がたまり部屋として定着し、一人でいる夜が無かった。自室でたまにアニメや映画の観賞会が行われるようになった。前々から気になっていた少女革命ウテナもみんなで見始めた。

友人に勧められた「A子さんの恋人」が面白かったので、他に勧められた漫画も読むようになった。読むたびに友人に感想を返すようにしていたら、僕の部屋に次々と新しい漫画が友人たちの手によって勝手に置かれるようになったので、読むものに困らなくなった。彼女らが勧めてくる漫画は僕が人生で読んでこなかったジャンルのものが多かったので、新しいものを色々と楽しめて非常に助かった。

月末の作曲者宛てクイズに曲を提出した。出来は拙かったが、3分ちょっとくらいのフル尺の曲を初めて完成させられたのが嬉しかった。それで少し満足してしまったところがあり、しばらくスマブラに意識を多く割くようになった。スマブラは上達したがこれ以降DTMに触れる頻度が極端に減ってしまったので、ここは少し反省している。

すまみやこに行く頻度は週三、四になった。また、ゼルダの伝説BOTWをプレイした(めちゃくちゃ楽しかった!!)影響でリンクを使ってみたところ気に入った。以降、ルフレリンクのダブルメインだと自己紹介するようになった。

 

成績表が返ってきた。GPAは0.02。

 

十月

新学期が始まるので決意を新たにした。スマブラDLCMINECRAFTが参加することが発表されて大笑いした。

部屋のみんなで追いかけていた「A子さんの恋人」が完結したので、完結記念パーティーが行われた。僕は部屋を提供しただけだが、友人は美味しいロールキャベツやマッツァボールを作って用意してくれた。ずいぶん楽しかったので、たまにはパーティーも悪くないなと思った。寒くなってきたので、エアコンのある僕の部屋は重宝された。

相変わらずすまみやこに通いつめ、KUSCの定期活動にも参加していた。割と強くなってきたかな〜〜と思い始めた10月なかばに、KUSC所属のベテランプレイヤーであるチャートやつさんの家に招待され、以降も通わせてもらえるようになった。先輩に実力を認められたような気分になって嬉しかったが、いざ通ってみるとボコボコにされ続け、”わからされ”た。チャートさんはよく助言をくれて、どれも的確な上にその内容が単なるテクニック面から試合への向き合い方のような精神論まで幅広く、とても助かった。経験を積んだ先輩が身近にいることほどありがたいことはない。

 

スマブラモチベが急激に高まり、すまみやこで知り合った人を招待してたまに自分の部屋で対戦会をやるようになった。

 

十一月

 

本格的に寒くなってきたので、チーズフォンデュとか鍋とかが僕の部屋で行われた。布教の甲斐あってチェンソーマンが周囲で流行りだした。部屋の上映会で見た平成たぬき合戦ぽんぽこがめちゃくちゃ良い映画で嬉しかった。寮で起こったことはそれくらいだ。

とにかくスマブラばかりしていたので、部屋にいる時間が短かった。二日に一回くらいの頻度でチャート宅にいた。メンバーはほとんど固定だったので負け続けても気易かったが、たまにチャートさんが呼んだ初対面のめちゃくちゃ強い人にボコボコにされて気分が落ち込む日もあった。スマブラの後は毎回別々のラーメン屋に連れて行ってもらった。一乗寺のラーメンはどれも個性的でおいしい。重厚軍団と聖が特にお気に入りだ。

単調な毎日だったが楽しかった。努力はしてるうちは何も考えなくていいので楽で良い。

月の後半は大吉投票のために曲を聴きまくった。あれだけ告知されておきながら結局投票は締め切りギリギリだった。良い曲しかなかったので本当に困った。

月末に第二回スマバトライト級の開催が発表された。なんとなく忌避感があったので出るつもりはなかったのだけど、先輩二人に「出ないとか無いから」みたいなことを強めに言われて結局参加申請をしてしまった。

 

十二月

スマバトライトの参加申請が通ってしまったので頑張るしかなくなってしまった。開催は12月13日。それに向けて、月初から二週間はほとんどスマブラのことだけを考えていた。

スマバトライト級はその名の通り、本家スマバトでの成績を基準に参加制限を設けた大会で、出れるのはスマバトの予選を通過できないくらいのレベルの人だけだ。僕はまだスマバトに出場したことがないので参加権があった。先輩の見立てだと僕は参加者のうちちょうど中位くらいのレベルとのことで、つまりは実力を試せる良い機会なのだった。

実力を試せる機会ということは、勝てたら自分は強く、負けたら自分は弱いということなのだ。すべて自分の責任になってしまうのだ。それが怖くて堪らなくて、開催前の一週間は大会無くなってくれ〜〜〜と口癖のように言っていた。実際コロナ第三波の影響で無くなりそうな雰囲気が一瞬でたが、予定通り開催されてしまった。

結果はbest24、64人中17位というものだった。今でこそ結構健闘したんじゃないかと思えるが、当日ははちゃめちゃに悔しかった。もっと勝ちたかった、もっと上に行きたかったと強く思った。次のライト級が2月に開催することが会場で発表され、絶対に参加しようと思った。

悔しさと同時に微妙な燃え尽きた感があって、一週間くらいスマブラのモチベーションが無かった。なので寮にずっといて、たまり部屋のコタツに入ってボードゲームをしたり友達が作ったご飯を食べたりして過ごした。すぐにやる気が戻ってきたのでスマブラは再開したが、生活の軸は寮に戻った。ラーメン屋とゲーム機とコタツを巡るだけの日々は生の実感を与えてくれる。生きていること、暮らしていられることに感謝しながら年明けを待った。

 

所感

なかなか良い一年だったように思う。思いつきに逆らわないこと、提案に軽率に乗ることを意識していた結果ずいぶんととっ散らかった大学生活になったが、新鮮なことが多くて楽しかった。勉強はもうちょっとしてもよかった気はするが、その辺は来年以降に補完していこうと思う。

最近の生活の雰囲気的に、2021はもう少し生産性が高い日々を送ることになりそうで、2020のような適当な時間の使い方をすることは難しくなるかもしれない。そう考えると去年が貴重なものに思えてくる。その方が嬉しいのでそう考えておくことにする。

忙しい日々にあっても、合間合間に無駄で楽しいだけの時間を挟んで、人生を風通しよく爽やかに作っていきたいと思う。そこそこに成長を望みつつ、ほどほどに堕落を愛していきたいと思う。そんな感じで、今年もよろしくお願いします。

 

 

 

 

 

 

近頃読んだ漫画/見た映画/見たアニメ/聴いた音楽について

2020年があっという間に僕の横を通り過ぎてしまった。気づいたらもう12月である。大学受験本番を迎えた1月~3月、大学生活/寮生活/サークル活動が一気に始まって大忙しだった4月~6月、スマブラのオフ対戦に打ち込み始めた7月~9月、友人達と交流を深めた10月~12月と、かなり密度の高い一年だったはずなのに、実感としては昨日入学式を迎えたばかりのような気分だ。去年の年末も同じようなことを思った。きっと来年も同じだろう。年末はそういう時期なのだ。後回し、先延ばしにしてきたあれこれに「もう後がないぞ」と現実を突きつけられ、否応なく無駄にした時間に目を向けなければいけなくなるのだ。もっと良い一年の過ごし方があった気はかなりしてくる。来年は今年よりマシな一年にしてみたいとか思っちゃったりする。この一年を共に過ごしてくれた人達に感謝とか述べてみようという気分にもなってくる。まさに12月である。

 

以上の文章は全て適当で、本文とは何の関係もない。ブログの始め方がわからなかったので困ってこんなことを書いた。第一嘘も結構混じっている。4月~6月は大忙しだったとか書いているが、実際の僕は大学をサボりまくって寮でだらだらゲームをしていただけだったのでとてものんびりまったりだった。サークルも結構ゆるかった。友人達と交流も別に深めていない。せいぜいサークルの先輩と一緒にスマブラをしていたくらいである。大学には遥か昔に入学したような気分がしている。もっと良い一年とか思いつかない。どうせ僕はこういうほどよくだらけた生活しか送れない。

しかしだらけた生活にも彩りは必要である。そのために漫画/映画/アニメ/音楽がある。加えて創作活動などをしてみると、人生はかなり豊かに華やかになるらしい。なのでブログを書いてみようと思ったのである。人生は華やかであるほど良い。※諸説がある

 

 

パプリカ

https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B0155NUPB0/ref=atv_dp_share_cu_r

かなり有名な作品だと思う。少なくとも僕は何度も名前を聞いたことがあった。今敏監督、マッドハウス制作のアニメ映画である。精神治療の為に開発された人の夢に入れる装置「DCミニ」が盗まれ、その悪用によって起こる諸々の事件と、それを解決する為に活躍する夢探偵パプリカ、及びパプリカの周囲の人間関係にまつわる物語である。奇抜で不可解、ともすればコメディ作品のようにも見えるポップな夢の姿の裏に、じっとりとした確かな恐怖を感じさせるアニメーションの演出がとても印象的だった。また、各キャラクター達はDCミニの力で夢と現実を行き来するのだが、その境目の演出も見事で、今いる場所が夢なのか現実なのか視聴者側もわからなくなってくる。アニメ映画でしか描けない混沌が1時間30分にぎっちり詰まった良作だった。

Fight Club

https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B07GQ6RBP2/ref=atv_dp_share_cu_r

 これも有名な作品らしい。公開は1999年だが、全く古さを感じなかった。真面目で勤勉、よく働きよく稼ぎ、物を買っては捨てられない、部屋をブランド家具で埋め尽くす「北欧家具の奴隷」である「僕」の根底にある厭世観が滲み出る一人語りに、巧みなカメラワークが追従する。ある日をきっかけに破壊され作り直される「僕」の生活の様子と、それに伴って変わっていく彼の言葉遣い、性格、服装、人間関係全てに焦点が向けられている。「僕」と共に"Fight Club"を作り上げるもう一人の主人公はブラッド・ピットが演じる。映画をまるで見ない僕でも知っているあのブラッド・ピットである。「僕」とは対照的な、堕落を生きる迫力ある男の演技は見応えがたっぷりだった。

 

 

平成たぬき合戦ぽんぽこ

https://tsutaya.tsite.jp/item/movie/PTA00007YNZ9

言わずとしれたスタジオジブリ高畑勲監督作品である。僕の周囲には高畑勲を信仰する宗教が流行っており、その布教活動の一環として僕の部屋で上映会が行われた。結果として僕も信者になり、こうしてブログに書いている。ニュータウン建設のために切り崩されようとしている山の中に暮らすたぬき達が、得意の変化術で人間達に戦いを挑む物語である。設定こそ陳腐で、あらすじを聞いただけではなかなか唆られないが、驚くべきはその描写力とプロットの緻密さである。個性豊かなたぬき達がどうしても一枚岩になれず、それぞれの思惑で動き回る様は単に群像劇として見ても面白い。スタジオジブリの映像美、疾走感のある演出や視聴者に訴えかけてくるような感情のこもったセリフの数々も素晴らしい。可愛らしくて愉快な絵柄でありながら、全編を通じてドキュメンタリー調の描写が続くことでひしひしとした現実感を与えてきて、最後まで飽きることなく見続けられる。とにかく完成度の高い作品である。これを見て君も高畑勲信者になろう!

 

 

少女革命ウテナ

https://www.video.unext.jp/title/SID0002637

 

 

「それは、むかしむかしのお話です。あるところに、お父様とお母様を亡くし、深い悲しみにくれる、幼いお姫様がいました。」

 

「そんなお姫様の前に、白馬に乗った旅の王子様が現れます。凛々しい姿、優しい微笑み。王子様は、お姫様を薔薇の香りで包み混むと、そっと涙を拭ってくれたのでした。」

 

「『たった一人で、深い悲しみに耐える小さな君。その強さ、気高さを、どうか大人になっても失わないで。今日の思い出にこれを。』」

 

「『私たち、また会えるわよね。』『その指輪が、君を僕のところへ導くだろう。』王子様がくれた指輪は、やはり、エンゲージリングだったのでしょうか。」

 

「それは良いとして、お姫様は王子様に憧れるあまり、自分も王子様になる決意をしてしまったのです。でも良いの?本当にそれで。」

 

 

友人に誘われて夏から上映会を始め、昨日ついに見終わったが、人生で見たアニメの中で最も印象的で、最も好きな物の一つになった。全編39話と長く、昔のアニメだけあって絵柄や演出(特にギャグ演出)には少し戸惑う部分もあったが、試聴済みの友人二人+未視聴の友人一人に付き添ってもらい、週末の夜に一日Blu-rayを一枚ずつ見ていって完走した。とにかく長いし、曖昧な部分も多く、説明が少なくて混乱するところが何度もあるだろうが、興味を覚えた人は是非見て欲しいと思う。内容に触れようとしてもうまく説明ができないが、王子様と姫と恋と愛とシステムと革命の物語である。絶対運命黙示録

OPとEDはめちゃくちゃ格好良い。

www.youtube.com

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「たとえ二人離れ離れになっても、私は世界を変える」「昔の話に縋る大人には言い訳が似合う」...見終わった後に曲を聴くと歌詞で泣けてくる。僕も潔く格好良く生きていきたいと思う。

 

ところで、これが百合アニメとして紹介されているのをどこかで見たが、別に百合アニメではない。というかこの作品を通しで見ておいて百合アニメというつまらないレッテルを貼ることに躊躇しないような人間は感性が死んでいるしこのアニメから涙一粒分の学びも得ていないに決まっているので話を聞くに値しない。まあどんな捉え方をしようと許されるのが創作物の持つ自由さ、魅力なので、さまざまな意見があっていいと思う。僕は許さないが

 

夢の端々

natalie.mu

こちらは上下巻構成の漫画である。二人の女性の関係性についての短話がいくつかまとめられており、現代からだんだん古い時代へ、舞台が実際の時制とは逆向きに遷移していく。時が経ち拗れてしまった二人の間柄がだんだんとほぐれていくような感覚を得るが、描写されていることはその真逆である。時間によって互いを許したり、落ち着いたり、よりを戻したりすることはできても、最初のように純粋に戻ることは決してできないということがただ悲しいと思った。上巻4話5話のえげつなさが好み。

面白い作品だが、一方でこの作者ならもっと面白くできたのではないかと貸してくれた友人が言っていた。僕も同意見であり、須藤佑実先生の次回作にご期待している。

 

A子さんの恋人

www.kadokawa.co.jp

留学帰りの美大出身のA子さんと、関係をうまく断ち切れなかった元彼のA太郎、留学先のニューヨークでA子さんを待つ彼氏のA君、それにA子さんの同級生のU子、I子、K子、その他周辺人物が織りなす群像劇、及びラブコメディである。作者も美大出身で、それだけあって絵が上手く、シンプルな線で描かれながらも表情豊かにキャラクターが動く。コマ割りは単純で語りも淡々としたエッセイ調だが、プロットが中々に作り込まれているので飽きが来ない。サクサクと読み進めていくうちにA子さんと二人の男との関係性の核心に迫っていき、だんだんと彼女らに感情移入できてくる。派手な表現は使わないが描写は巧みで、盛り上がりと落ち着きがしっかりしていて物語にボリュームがある。とても面白かった。全七巻で既に完結していて買い揃えやすいので、暇な週末なんかに手に取ってみると良いと思う。この間恵文社で売ってるのを見かけた。

www.keibunsha-store.com

 

子供はわかってあげない

morning.kodansha.co.jp

 『読むとうっかり元気になる、お気楽ハードボイルド・ボーイミーツガール

↑の素敵なキャッチが公式の作品紹介についており、これ以上の説明はいらないように思える。キュンキュン、爽やか、甘酸っぱい、良い青春漫画だった。どうやら実写映画化するらしい。成功すると良いと思う。

 

聲の形

www.shonenmagazine.com

読み終わった後に感想を語ろうと意気揚々と友人達に話しかけたら、「今は聲の形の話をするにはMPが足りない」「そんな体力ない」「眠い」と跳ね除けられて悲しかった。実際この漫画は感想を語る上で踏まえておかなければいけない文脈の量がかなり多く、なかなか一筋縄ではいかない作品だ。石田将也はろう者の西宮硝子をいじめ、彼女から小学校時代を奪ってしまったことを後悔する。その罪の意識が消えないまま中学高校と成長し、償うために再会するも、どうやっても過去は消えないという事実が彼に重くのしかかる。誰もが罪を背負いながら、それでも人生をやらなくてはならないという現実は本当に怖い。その怖い現実に向き合う主人公と、その周囲の世界の話である。

僕がこの漫画を好きな理由のうちで最も大きいのは、人間は基本的にしょうもないということがありありと書かれていることだ。主人公の石田を筆頭に、登場人物は誰もが良い奴で、誰もが嫌な奴だ。好きな奴には優しくするが嫌いな奴は詰るし罵る。手段や考え方は違うも、みんな隙あらば自己正当化に走り、自分は加害者ではないと言い張り、被害者ぶって善人ぶって、助けるふりをしたり開き直ったりする。他人を許したり許さなかったりする。怒ったり、怒ることで自分は正しいと思い込もうとしたりする。怒らないことで許してもらおうとする。人間の描写はかくあるべきだ。多面的で立体的な人間関係を描く素敵な漫画だった。

ところでこの作品は「君の名は。」と同時期に映画が公開されていたことが有名だが、その頃中二の僕は逆張りのつもりで「傷物語 Ⅱ冷血編」を日本橋の映画館に一人で観に行っていた。なので未視聴である。そのうち観たい。

 

青野くんに触りたいから死にたい

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よくあるWEBマンガみたいなタイトルとよくあるWEBマンガみたいな絵柄だと思っていて舐めていたらなかなかとんでもなかった。ジャンルはラブ/エロ/コメディと見せかけたガチのホラーである。幽霊との恋は素敵だが、あくまで化物であることを忘れてはいけない。この絵柄だからこそ出せる怖さと、純粋に漫画力の高さを感じさせる演出がかなり良かった。幽霊・青野くんの裏に潜む怖い怪物と向き合っていくうちに、だんだんと主人公の優里ちゃんの内面に迫っていくのだが、これがまた異常で怖いのだ。既刊は7巻。続巻が来春に出るらしくとても楽しみだ。

作者の椎名うみさんのTwitterは結構面白い。

 

キッチン

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友達から薦められていて、本屋で見かけたので買って読んだ。1988年刊行だがFight Club同様に古さを感じなかった。ありきたりな表現になるが、やはり良いものは時代を問わないのかもしれない。単純に三十年やそこらでは人の価値観は変わらないというだけかもしれないが。ともかく良い小説である。表題作の「キッチン」とその続編、加えて作者のデビュー作である「ムーンライト・シャドウ」がおさめられている。どの作品も喪失と、それからどう立ち上がるかということがテーマになっていて、寄り添うものとしてキッチンや月明かりがある。

とても良い小説で気に入ったのだが、読み終わった後はしばらく悲しかった。というのも、全編を通して男女関係、恋愛を通じて世界の美しさを見ようとする雰囲気があり、また作者自身もそういう雰囲気の人であるらしく、恋愛も男女関係もやってこず、またそれらを信じていない身ではここに表現されている美しさを真の意味では解せないのではという気持ちになってしまったからだ。今思うとめちゃくちゃな悲しみ方をしていた気がするが、読後の僕は本気で結構気落ちしていたので、覚えていないだけで何かもっと考えていたことがあったのかもしれない。

 

容疑者Xの献身

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東野圭吾を軽んじて生きてきたが、読んでみると結構面白かった。白夜行も読んでみたい。

 

終わりなき夜に生れつく

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同じく恩田陸も軽んじて生きてきたが、読んでみると結構面白かった。どうやらシリーズ物だったらしいので、他の作品も読んでみたい。

 

 所見

だいたい紹介したいのはこれくらいである。後は「ネムルバカ」「ダンジョン飯」「ゴールデンゴールド」とかが面白かった。僕は電子版で定期購読している少年ジャンプ以外に自発的に漫画を読む/アニメを見る/映画を見ることがあまりないので、漫画好き/アニメ好き/映画好きの友人がいることはとてもありがたい。おかげで沢山の良い作品に出会うことができ、人生が1680万色くらいに彩られている感じがしている。ところで曲についてだが、最近あまり新しい曲を聴いておらず良くない。オススメの曲があったらぜひ教えて欲しい。

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かろうじて最近聴いていいな~~~~となった曲

 

最近ようやくスマブラの上達の仕方がちょっとわかってきて楽しくなってきたが、勉強/DTMは全然である。できれば来年はそっちにも力を入れたいな〜〜と思っているが、時間/モチベーション管理が下手糞、及び気合が足りずこのままでは多分ダメになってしまいそう。せめてスマブラだけは萎えずに続けたいと思う。頑張るぞ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。

終わりです。読んでくれてありがとうございました。